あずか)” の例文
旧字:
議会がこの事にあずかるのは、取りも直さず、議会に代表者を送るところの人民が間接にこの重要なる問題の議定に容喙するを得るので
その時のことだった、私たちの生命を救うによほどあずかって力のあったあの向う見ずな考えの最初のものが、私の頭に思い浮んだのは。
ほんに、今日こそ、氷室ひむろ朔日ついたちじゃ。そう思う下から歯の根のあわぬような悪感を覚えた。大昔から、暦はひじりあずかる道と考えて来た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
それには、是非ともお交際つきあいを願って、いろ/\な立ち入った御相談にも、あずからせていただきたいと、それで実はあんな突然なお申込を……
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
イエス崇拝者は異教の密儀と同じく「主の食卓」においてキリストの血にあずかる酒杯を飲み、キリストの体に与るパンを食ったのである。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
そのうち更に資本国はといえば最初の四国に止まるので、露と日とはあずからぬ。更に金額の上よりいえば、日本は最下位におるものである。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
足利時代はその終りに至るまで、ついに『源語』的趣味の滅絶を見なかったが、実隆のごときはこれにあずかって大いに力ある者であろう。
ただ抽斎の誕生を語るに当って、これをしてその天職を尽さしむるにあずかって力ある長者のルヴュウをして見たいというに過ぎない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
今や二条家の血統に歌人が絶えたので、飛鳥井家が撰者の地位を得、尭孝は二条流の道統を継ぐ者として、これにあずかったのである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
「いや、有難う。ほんとうにいろいろとお骨折にあずかりまして、………いずれ相談いたしまして、本家の意見も聞きました上で、………」
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その頃考古学の講義で聴いたフランスの学者がロゼッタストーンを研究した話などは、私の好奇心を高めるにあずかって力があった。
「古琉球」自序 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
これはしかし、ヴァイオリン・レコードをあさりつくした玄人蒐集家筋の贅沢で、単に音楽を愛するファンたちのあずかるべき道楽ではない。
今までは西洋においても女性は男性ほどに教育の恩典にあずかるの便がなかったゆえ、その頭脳もまた思う存分に啓発されなかった。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
うところの芸術家のみが創造をつかさどり、他はこれにあずからないものだとするなら、どうして芸術品が一般の人に訴えることが出来よう。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
今になりて思ひ得たる事あり、これまで余が横臥おうがせるにかかはらず割合に多くの食物を消化し得たるは咀嚼そしゃくの力あずかつて多きに居りし事を。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
国師の推薦にあずかって家康は上人を知り、千代田城の鬼門に当たる上野山に寛永寺を建立させ、これを鬼門除けの祈祷所とした。
増上寺物語 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
地上の分割にあずかるのは、それは学校を卒業したら、いやでも分割にあずかるのだ。商人にもなれます。編輯者にもなれます。役人にもなれます。
心の王者 (新字新仮名) / 太宰治(著)
まきはすつかり老齢に入つて、掃除やくりやのことは若い女中に任せて自分はたゞ部屋に寝起きして、とき/″\女中の相談にあずかればよかつた。
蔦の門 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
然し人々と同じやうに、その後の卓一の私事に就いてまつたくあずかり知らないことが、ひそかに彼を苛々させてゐたのであつた。
「これにてお召出しにあずかりましたお役目、どうやら無事に果しましてござりますが、就ては舅上ちちうえに改めてお願いがござります」
入婿十万両 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ついにはお胸の痛みが起こってきてお苦しみになった。命婦みょうぶとかべんとか秘密にあずかっている女房が驚いていろいろな世話をする。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
しかも寺の僧はこれにはあずからぬので、御正体みしょうたいは仏号である場合にも、祭の式には宅神祭のなごりかと思う古い形を留めていた。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
陪審人が僧正ビショップの夕餐にあずかるためには、罪人が一人くびり殺される——って。だいたい、父という人物が、そういった僧正ビショップみたいな男なんです。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
其条件は光子が無事に産をしたなら二十個年子供の養育費として毎月五拾円を送る。其代り子供の戸籍については主家では全然あずかり知らない。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかしこれは初手しょてにどてらの方で自分の食いたくないものを、むしゃむしゃ食って見せて、自分の食慾を誘致した結果があずかって力あるようだ。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あるいはしからずとするも、非凡なる芸術的、哲学的天才のみのあずかることを得る超越的認識のごとく思われる。しかしけっしてそうではない。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「まあまあ、急ぐな。……公事くじにも占相せんそうということがあずかって力をなす。……おれは、いま金座の人相を見ているところだ」
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
たといバニャトーの説の如く、この酷法の内容は以前より存していたにもせよ、立法者の刑罰主義もまたあずかって力あったことは疑うべくもない。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
満洲に潜入しているJ・I・Cの活躍があずかって力ある事を、意外にもペトログラドに於けるケレンスキー一派の諸新聞が
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
仏教を教えただけで決して彼が仏法を盗みに来たとかあるいはまた国内の事情を探りに来たということについては一つも私のあずかり知らぬ事である。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「以ての外、拙者が九州人でない証拠は、拙者のおんを聞いたらわかるだろう、婦人や少年のことはあずかり知らんことじゃ」
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「今や支那分割の勢既に成りてまた動かすべからず。我が日本の之に対する、如何にせば可ならん。全く分割にあずからざらんか。進みて分割に与らんか」
斗南先生 (新字新仮名) / 中島敦(著)
私がその後基督信者キリストしんじゃになったのはこの時の感激があずかって力ある。もっともこんな経緯いきさつから入った信仰だから至って怪しい。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それを作るにあずかって原因であったものが蘇りまた生きながらえることは決して欲しないと考えられ得るであろうか。
人生論ノート (新字新仮名) / 三木清(著)
筆者は……実は、この時の会の発起人の一人いちにんであった。あえて言を構うるのではないが、塔婆のねやの議にはあずからない。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「皇叔とあなたは、むかし桃園に義をむすんで、心もひとつぞ、生死も共にと、お誓い合った仲と承る。なんで、あずかり知らぬで世間が通しましょうぞ」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さりながら、こはひとり男子の罪のみにあらず、婦人の卑屈なる依頼心、また最もあずかりて悪風習の因となれるなるべし。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
その隠し場所の秘密については、父の老博士すらも全くあずかり知らなかった。必要な際に新一がそれをどこからか持ち出して来るのを見るばかりであった。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
徳川氏の天下を治めたる文教の力あずかりて大ならずとせず。いずくんぞ知らんや、この文教なるものは封建制度を寸断する危険なる分子をその中に含まんとは。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
それで、どういうものを製作するかということについては、私はあずかり知りませんでしたが、いろいろ撰定の結果楠公の像を作るということに決定しました。
戸外では霜の色に夜が薄れて行き、そんな母親の姿に豹一は幼心にもふと憐みを感じたが、お君は子供の年に似合わぬ同情や感傷などあずかり知らぬ母だった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
第二第三の関門については、私はあずかり知りません。張教仁君、さようなら! いずれどこかで逢うことでしょう
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
けれども、今から想像してるその光栄にあずかりたいという彼の願望は、いたって謙譲な哀れ深いものだった。
その後新しい『鴎外全集』が岩波書店から出た時も、潤三郎は相談にあずかって、校正に力を尽しました。岩波版の全集には、「校勘記」というものを添えました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
具体的に言えばトルストイ翁は男は種族の存続を履行することにあずかり得ないように言われたが、それは何人なんぴとにも明白な誤謬である。人間は単性生殖をし得ない。
母性偏重を排す (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
その村落も、新たに土地を開墾して、農業を行った農村ならば、普通のごうとなって、班田にもあずかったでありましょうが、雑戸ざっこであってみれば班田の典にも預からない。
アノ夫人は兼ねて私が此の塔の秘密を解くに心を注いで居る事を知り、塔の宝を取り出したなら其の割前にあずかる積りで兄の穴川甚蔵等と様々に私を威して居たのですが
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
もちろんそれには千里利きと言われた彦の嗅覚があずかって力あることはいうまでもないと同時に
天皇は武力を以てその権威と勢力とを示さず、また政治の実務にはあずかられなかったようであるが、それにはまた別の力があって、それによってその存在が明かにせられた。
佐川の町の人が科学サイエンスに親しむ風があったについては、佐川が有名な化石の産地であることもあずかって力ある。具石山・吉田屋敷・鳥の巣等には化石の珍物が出るので名高い。