馬市うまいち)” の例文
然るに半三郎の馬の脚は徳勝門外とくしょうもんがい馬市うまいち斃馬へいばについていた脚であり、そのまた斃馬は明らかに張家口ちょうかこう錦州きんしゅうを通って来た蒙古産の庫倫クーロン馬である。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
木曾福島きそふくしま馬市うまいちの立つ町としても昔から知られています。その馬市のことを木曾地方のものは「お毛附けづけ」とも言います。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
またある時、須利耶さまは童子をつれて、馬市うまいちの中を通られましたら、一ぴき仔馬こうまちちんでおったと申します。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
(おゝ、諏訪すはみづうみあたりまで馬市うまいちしやすのぢや、これから明朝あした御坊様おばうさま歩行あるかつしやる山路やまみちえてきやす。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まだ、ろくに屋並やなみも揃わないうちに、信長は、馬市うまいちを立てさせ、他国の相場以上に、どしどし名駿めいしゅんを買い上げた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「本名は井上嘉門様、西野郷の馬大尽様が、この馬市うまいちでお儲けになる金高、大変もないそうでございます」
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それから次第に馬の改良ということが始まる、馬市うまいちは一年増しに盛んになる、そのうわさがなにがしの宮殿下のお耳にまでとどくようになったとか。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
馬市うまいちでも立つように、畑道や草原のなかに、煮売屋にうりやが出ているし、さまざまな露店商人あきんどが荷をひろげている。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
徳勝門外とくしょうもんがい馬市うまいちの馬です。今しがた死んだばかりですから。」
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それ馬市うまいちおあしになつて、おあしが、そうらこひけた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「福島は今日から馬市うまいちで、さぞまあにぎわうことだろう」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
塩市しおいち馬市うまいちぼん草市くさいちが一しょくたにやってきたように、夜になると、御岳みたけふもとの宿しゅく提灯ちょうちんすずなり、なにがなにやら、くろい人の雑沓ざっとうとまッであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木曾きそには毎年まいとし馬市うまいちつくらゐに、諸方はう/″\うまひますから、それではいおほいといひます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)