隣町となりまち)” の例文
今日きょうは戻って来るか、明日は戻って来るかと隆吉りゅうきちを待つ思いでいながら、いつの間にか半年はたったのだが、隣町となりまち安造やすぞうも四日ほど前に戻って来たと云う話を聞いた。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
鼻緒の下請負したうけおいは、同じ区内の今戸いまどとか橋場はしばあたりの隣町となりまちの、おびただしい家庭工場で、しんを固めたり、麻縄あさなわを通したり、その上から色彩さまざまのさやになった鼻緒をかぶせたり、それが出来ると
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「熊本秋子さんなら直ぐ、隣町となりまちの床屋のむすめさんじゃきに、伯父さんもよう知っとるし、本当におまはんがその気なら、じき話を決めるがのうし」と大乗気になられ、かえって此方こちら辟易へきえきしました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
これが所夫をつとあふがれぬべくさだまりたるは天下てんか果報くわはう一人ひとりじめ前生ぜんしやう功徳くどくいかばかみたるにかとにもひとにもうらやまるゝはさしなみの隣町となりまち同商中どうしやうちゆう老舖しにせられし松澤儀右衞門まつざはぎゑもん一人息子ひとりむすこ芳之助よしのすけばるゝ優男やさをとこ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
君を慕ひて隣町となりまち
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)