はかり)” の例文
それによれば、楠木のはかりで、正成のひきいる水軍が、ゆくての塩飽島しあくじま、ほか島々の島蔭に、待機している様子だ——というのである。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先生決して汽船にお乗なさるな。若し旨にさかつて職を免ぜられると云ふことになつたら、野に下つて漢医方の興隆をおはかりなさるが宜しいと云つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
その策もっとも拙く、銭多ければいやしく、紙金を造れば他邦に通ぜず、正金出でて再び帰らず。いよいよ乏しくますます窮す。今に至りてはかりごといかんともすべからず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
御書状拜讀仕候つかまつりそろと拙者の貴君の御世話可致いたすべくと決心候節、貴君の爲めにはかり候は、當地に於いて正當なる教育を受けられ、社會に益ある一人物となられ候樣にと希望候儀に有之これあり候。
日本人にして外国の書を読み、一身の独立をはかりてその趣旨を一国に及ぼし、もって我国権を皇張するの一点に在るのみ、しかるを今にしてこの大義を顧みざるが如きははじめより目的を誤るものと云うべし
故社員の一言今尚精神 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
、必殺の地へ、おびき出せるか——と、じつはそのはかりをこの間じゅうから考えているのです。何か、よい策があったら、お智恵をかして下さい
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おのおの自からその裨益をはかりて、会計に心を用うること深切なり。
べつに自己のはかりとする抱懐ほうかいもつぶさに述べて、やがて笠置を退がったにちがいない。——とにかく正成は、また即刻、河内の水分みくまりへ帰って行ったのだった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「やむを得まい。辞句の端などに余りとらわれるな。そもそも、告文その物が、すでにはかりの一つであろうが」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の献言けんげん、そのはかり、至極妙と存じたゆえ、敵に洩るることをおそれて、却って、あのようにわざと叱ったわけでした。あとで貴所あなたからよくいたわってつかわされるように
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はかりをもって、兵を禁闕きんけつに入れ、帝を幽囚ゆうしゅうして、自分をもここへおびきよせたものでないとはいえない。
乱麻らんまの状にて、余賊よぞく、容易に平定せず、さきに新田義貞からも、しきりな急使を受けておりますものの、いかにせん賊徒平定のはかりに、日夜、心をくだくのみで、遅々ちちと、延引えんいんいたしおりますこと
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さっそくの迎え、うれしいぞ。……笑うべし、かねがねのこまやかなるはかりも、いすかのはしと食いちがい、かくの如く、俄か落人おちゅうどとはなって、昨夜、ひそかに大内を脱け出てまいった。たのむぞよ」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「指揮すべて、軍師の権とはかりを以て、即刻にするがいい」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)