芽出度めでた)” の例文
さて是から文七とお久を夫婦に致し、主人が暖簾を分けて、麹町こうじまち六丁目へ文七元結の店を開いたというお芽出度めでたいお話でございます。
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
両親はすこぶる喜んで早速このよし先方さきへ通ずる、そこで、かたの如く月下氷人なこうどを入れて、芽出度めでたく三々九度も終ったというわけだ。
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
然も奴等は前払で取っているんだ、し私がお芽出度めでたく、ほんとに何かが見られるなどと思うんなら、目と目とから火花を見るかも知れない。
淫売婦 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
「ですから試しに行って見ようではありませんか。もしその先生のおかげで私たちの身体からだが当り前になれば、こんな芽出度めでたいことはないでしょう」
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)
松竹梅の芽出度めでたい事は誰でも知らん人はありません。これは誠にこの上もない好い取り組みを昔の人がしてくれたもので、それは誰でも異議のない所でしょう。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
結局散々頭をしぼった末、一生一代の名文の手紙を書いて、とうとう平井さんからその墨を譲り受けて、やっと落付おちついた。誠に芽出度めでたい結末になったわけである。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
照近江てるおうみのお鯉という名は、時の宰相の寵姫おもいものとなる芽出度めでたき、出世登竜門の護符ごふうのようにあがめられた。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
な菜の花や、紅い蓮華草れんげそうが綺麗に咲いている大和路の旅の途中、田舎の芽出度めでた嫁入よめいりに逢うのは嬉しいが、またかかる見渡す一二里も村も家もないところで不思議でもある
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
おっつけ殿からの使者つかいが来て、芽出度めでたく帰参が適うものと、かたく信じて居るからでござるよ
村井長庵記名の傘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「へえん、お寺さんぢや、お芽出度めでたにも黒と白の水引をお使ひになるんですこと。」
ごりがん (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
周旋する人があって、彼は芽出度めでたく女房をもらった。
因果 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
それは芽出度めでたい。人間そこまでてみん事には、世の中はわからん。よろしい引受けた。その支那人なら私も知ってる。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さ、おべよ、おまへいて芽出度めでたいからおいはひだよ、わたしがおしやくをしてげよう……お猪口ちよこ其処そこらアね。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
われらの大先輩に本草学、植物学に精進せられた博物学者の錦窠きんか翁伊藤圭介先生があった。珍しくも九十九歳の長寿を保たれしはまず例のすくない芽出度めでたい事である。
自分の体の毛をむしって、それを口で吹いて、その毛を自分の姿にしたという、あの時その孫悟空のように口を尖らしてフーフー銀貨を吹き耳の辺へ持って行った結果、ちゃアんと芽出度めでた
赤げっと 支那あちこち (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして万事は芽出度めでたく納ったのである。
千里眼その他 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
新式の病院を開業さっしゃる。お蔭で村の者が一人残らず長生きする。なあ……これ位芽出度めでたい事は無いなあ医師会長さん。死んだ先生も喜んで御座ろう
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これはかの『荘子』に出ている「大椿ナルモノアリ八千歳ヲ春トナシ八千歳ヲ秋トナス」の語へ我が「つばき」(椿)を取り合せ芽出度めでたい語として古人が作った称呼たるに過ぎない。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
へえ誠に有難ありがたぞんじます……へえゝうも日本晴につぽんばれがしたやうだてえのは、旦那だんなさま此事このことでございませう、本当に有難ありがたいことで。近「まア芽出度めでたかつた。梅「旦那だんな々々/\これはなんでげす。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いやそれはお芽出度めでたい」
沙漠の美姫 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
吾輩が畢生ひっせいの研究事業である精神科学の根本原理……即ち心理遺伝と名づくる研究発表の結論となるべき実験が、芽出度めでたし芽出度しになる手筈になっているのだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ところで又、そのあくる日のきょうは今も申します通り、若旦那様とオモヨさんの、お芽出度めでたい日取りになっておりましたので、私共も一昨日おとといから泊り込みで手伝いに参っておりました。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
もっともその途中で君自身が自分の身の上を感付くとすれば止むを得ない。話はそれ切りの芽出度めでたし芽出度しになる訳だが、その時はその時として、まずそれまでのお楽しみとして聞いていたまえ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一家一門繁昌して「祝い芽出度めでた」とはやされてニコニコと喜んで
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それはこの上もない芽出度めでたい座敷であった。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「イヨオ。これは芽出度めでたい」
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
『……芽出度めでたい……』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)