膏藥かうやく)” の例文
新字:膏薬
へいからおつかぶさりました、おほきしひしたつて、半紙はんしりばかりの縱長たてながい——膏藥かうやくでせう——それ提灯ちやうちんうへかざして、はツはツ
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「でも、若い娘の手が、あんなのは惡くありませんね。尤も、左の手に少し怪我をしてゐるやうで、手の甲から手首にかけて、膏藥かうやくつてゐましたが」
このぢいやのおほきなさむくなると、あかぎれれて、まるで膏藥かうやくだらけのザラ/\としたをしてましたが、でもそのこゝろ正直しやうぢきな、そしてやさしい老人らうじんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
なす者の申口に當月廿二日の夜丑滿頃うしみつごろさふらひ體の者二人をこぢ明て入來り一人は拔身ぬきみもち一人は私しをとらへて此きず療治れうぢいたせ然もなくば切殺きりころすと申候につきよんどころ無療治れうぢ致し膏藥かうやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ベタベタ膏藥かうやくを貼つたり、ゐざり眞似まねまでして、佐原屋の樣子を見窮みきはめ、娘お筆の身を見守つて居たのです。
取らねば大事に成んも知れず大切なる腫物しゆもつなれば隨分ずゐぶんお大事に成るべしとて煎藥せんやく膏藥かうやくとを調合てうがふして置て行ければお花は彌々いよ/\むねやすからず醫者のをしへたる通り腫物に膏藥かうやくはり煎藥せんやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ときころ奧州あうしう得平とくへいふのが、膏藥かうやく呼賣よびうりをして歩行あるいておこなはれた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
俺はまた、羅生門河岸らしやうもんがしから轉げ込んだ、膏藥かうやくだらけの年明けかと思つて、宜い加減膽をつぶしたよ。
奧州あうしう仙臺せんだい岩沼いはぬまの、得平とくへい膏藥かうやく
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
取結とりむすばせける夫より夫婦なかむつましく暮しけるが幾程いくほどもなく妻は懷妊くわいにんなし嘉傳次はほか家業なりはひもなき事なれば手跡しゆせきの指南なしかたは膏藥かうやくなどねりうりける月日早くも押移おしうつ十月とつき滿みちて頃は寶永二年いぬ三月十五日のこく安産あんざんし玉の如き男子出生しゆつしやうしける嘉傳次夫婦がよろこび大方ならずほどなく七夜しちやにも成りければ名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お夢は燒けたびんなどをき上げて居ります。火傷やけどは額から首筋へほんの少々、膏藥かうやくでも濟みますが、火鉢で腰のあたりを打たれたさうで、身動きは出來さうもありません。
差したり、頬へ膏藥かうやくを貼つたり、顏へすゝを塗つたり、精々汚ならしく見せようとしたんだらう
外には和吉といふ口上言ひが一人、これは三十前後のちよいと好い男ですが、色白の額から左の頬へかけて、大燒痕おほやけどが凄まじく、引つ釣に膏藥かうやくなどをつた、見る影もない人相です。
洗ひざらひ持つて行つた女がありますよ——若い、顏中膏藥かうやくを貼つた女だつたさうで
「左の額際ひたひぎはに傷でもあるのか、いつでも膏藥かうやくを貼つてゐたが——」