聞取きゝと)” の例文
が、ものおと人聲ひとごゑさへさだかには聞取きゝとれず、たまにかけ自動車じどうしやひゞきも、さかおとまぎれつゝ、くも次第々々しだい/\黄昏たそがれた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
世馴よなれた人の如才じよさいない挨拶あいさつとしか長吉ちやうきちには聞取きゝとれなかつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
うかとおもふと、とほくにからかねひゞいてるか、とも聞取きゝとられて、なんとなく其処等そこらががや/\しす……雑多ざつたこゑふくろれて、虚空こくうからぬまうへへ、くちゆるめて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あのさかあがぐちところで、うへからをとこが、あがつて中年増ちうどしまなまめかしいのと行違ゆきちがつて、うへしたへ五六はなれたところで、をとここゑけると、なまめかしいのはぐに聞取きゝとつて、嬌娜しなやか振返ふりかへつた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)