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縁
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べり
ふりがな文庫
“
縁
(
べり
)” の例文
私たちは坂を降りて江戸川
縁
(
べり
)
を船河原橋の方へと往った。片側町の家の後はもう焼け落ちて、その火は後の砲兵工廠の火に続いていた。
変災序記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
川
縁
(
べり
)
の下駄も、
遺書
(
かきおき
)
も、俺のさせた狂言で、うまく国許をずらかってから、
彼女
(
あいつ
)
は、江戸で女師匠、俺は、持ったが
病
(
やまい
)
の
博奕
(
ばくち
)
、酒。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
みのるは橋の角の交番で「清月」と云ふ貸席をたづねると、其所から江戸川
縁
(
べり
)
の方へ曲がつて行つた。清月はその通りの右側にあつた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
中でも裏山の峰に近い、この寺の墓場の丘の頂に、一樹、
榎
(
えのき
)
の大木が
聳
(
そび
)
えて、その
梢
(
こずえ
)
に掛ける高燈籠が、市街の広場、辻、小路。池、沼のほとり、大川
縁
(
べり
)
。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「御町内から江戸川
縁
(
べり
)
の娘達を集めて盆踊りの
催
(
もよほ
)
しがあつたよ。奧方の御望みでな——、踊り子には一人百疋づつの御祝儀が出た上大した御馳走でな——」
銭形平次捕物控:186 御宰籠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
冬子は宵からある大川
縁
(
べり
)
の大きな料理屋へ招ばれてまだ帰って来なかったし、富江と市子米子の二人の舞妓は賑やかな遊びの好きな、県会議員で、素封家で
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
うんげん
縁
(
べり
)
の
畳敷
(
たたみじき
)
で、天井の高い広廊下は、凍った風で寒かった。信祝は、急ぎ足に、一つ角を曲ると
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
これも程近い那珂川
縁
(
べり
)
あたりから拾って来たらしい、鼻緒も何もないノッペラボーの古下駄を二つ掛け並べて、右の方には狂歌師、坂元寓と達筆な
二川様
(
ふたがわよう
)
、左の方には
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
春先き、家々の軒端近く繞りめぐつてゐる小川の氷が碎けて、白のさゝ
縁
(
べり
)
のやうになつて、兩側を飾つてゐる間を、一日々々と水量がました、流れの音がころつ/\と響いて來る。
山岳美観:02 山岳美観
(旧字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
その頃は、江戸川
縁
(
べり
)
の西江戸川町に住んで居ました。琴の師匠の家の部屋を借りて、妻と一緒に暮して居たのです。その日、私は社から帰って来ますと、久し振りで銭湯へ行きました。
たちあな姫
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
用水
縁
(
べり
)
の小川屋の前の畠では、百姓の
塵埃
(
じんあい
)
を燃している煙が斜めになびいていた。
『田舎教師』について
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
池は
玉
(
ぎょく
)
もて張りたらんやうに白く湿める水の
面
(
も
)
に、静に魚の
溌
(
は
)
ぬる聞こえて、
瀲灔
(
ちらちら
)
と石燈籠の火の解くるも
清々
(
すがすが
)
し。塀を隔てて江戸川
縁
(
べり
)
の花の
林樾
(
こずえ
)
は
一刷
(
ひとはけ
)
に淡く、向河岸行く辻占売の声
幽
(
ほの
)
かなり
巣鴨菊
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
谷川
縁
(
べり
)
の一筋道で樹の根に
蹶
(
つまず
)
き倒れるおかめの
髻
(
たぶさ
)
を掴んで引摺り倒し
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
黒く、青い、ささ
縁
(
べり
)
のみ光った、全面の光らぬ波濤
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
酒ぬきの飯を
喫
(
く
)
った私は、其処を出て河津川
縁
(
べり
)
に往き、其処の橋を渡って
上流
(
かわかみ
)
へ往って、田の中の森にある
来宮神社
(
くのみやじんじゃ
)
へ往ってみた。
火傷した神様
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかし、その十畳ほどなうんげん
縁
(
べり
)
のたたみの
間
(
ま
)
には、今はいって来た客と
主
(
あるじ
)
のほか一人の人かげも見えないのである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「夜中の事で。江戸川
縁
(
べり
)
に植えたのと違って、町の青柳と桜木は、間が離れておりますから、この辺じゃ別に騒ぎはしませんでしたが、ついこの月はじめの事ですよ。」
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私どもが御機嫌伺いに参りましても
根府
(
ねぶ
)
川の
飛石
(
とびいし
)
伝い、三尺の
沓脱
(
くつぬぎ
)
は徳山
花崗
(
みかげ
)
の
縮緬
(
ちりめん
)
タタキ、黒縁に
綾骨
(
あやぼね
)
の
障子
(
しょうじ
)
。音もなく開きますれば青々とした三畳敷。五分
縁
(
べり
)
の
南京更紗
(
なんきんさらさ
)
。引ずり
小手
(
ごて
)
の砂壁。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
二人はそんな事を言いながら、江戸川
縁
(
べり
)
を歩いておりました。
銭形平次捕物控:104 活き仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
江戸川
縁
(
べり
)
に住む小身者の
壮
(
わか
)
い侍は、本郷の親類の
許
(
もと
)
まで往って、其処で酒を振舞われたので、好い気もちになって帰って来た。
花の咲く比
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
漆
(
うるし
)
と、
箔
(
はく
)
と、
砂子
(
すなご
)
と、うんげん
縁
(
べり
)
の畳と、すべてが、庶民階級の家には見馴れないものばかりで、
焚
(
た
)
きにおう
名木
(
めいぼく
)
のかおりが、
豪奢
(
ごうしゃ
)
に鼻をむせさせてくるし、飼い
鶯
(
うぐいす
)
の啼くねがどこかでしきりとする。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人はそんな事を言ひ乍ら、江戸川
縁
(
べり
)
を歩いて居りました。
銭形平次捕物控:104 活き仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
砲兵工廠の火は、江戸川
縁
(
べり
)
にかけて立ち並んだ人家を包んで燃えていた。私たちはその江戸川縁を左に折れて往った。
死体の匂い
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
金襴
縁
(
べり
)
の
御簾
(
みす
)
を下げた大身のお
忍船
(
しのび
)
もまま見える。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藤枝の声を聞いて集まって来た人びとは、藤枝といっしょになって利根川
縁
(
べり
)
の方へ追って往ったが、女の影はもう見えなかった。一行の足は
自然
(
おのず
)
と止ってしまった。
女賊記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
多摩川
(
たまがわ
)
縁
(
べり
)
になった
調布
(
ちょうふ
)
の在に、
巳之吉
(
みのきち
)
という若い
木樵
(
きこり
)
がいた。その巳之吉は、毎日
木樵頭
(
さきやま
)
の
茂作
(
もさく
)
に
伴
(
つ
)
れられて、多摩川の
渡船
(
わたし
)
を渡り、二里ばかり離れた森へ仕事に通っていた。
雪女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
縁
常用漢字
中学
部首:⽷
15画
“縁”を含む語句
因縁
由縁
縁端
所縁
縁付
離縁
縁辺
縁者
川縁
縁取
河岸縁
縁飾
縁附
血縁
縁側
縁起
縁故
縁喜
笹縁
縁切
...