細流さいりう)” の例文
はかますそを、サラ/\といしくゞつて、くさした細流さいりうあり。さかはたら/\としづくしぼつて、がけからみちしたゝるのである。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
東京の水を論ずるに当つてまづこれを区別して見るに、第一は品川の海湾、第二は隅田川中川なかがは六郷川ろくがうがはの如き天然の河流、第三は小石川の江戸川、神田の神田川、王子の音無川おとなしがはの如き細流さいりう
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
(第五回參照)コロボックルにして長大なる木材を用ゐたりとせんか、既に衣服有つて其水に潤ふを厭ふべき彼等かれらが、細流さいりうの上に丸木橋を架して徃來に便にする事を思ひ付かざる理有らんや。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
半纏着はんてんぎは、みづあさいしおこして、山笹やまざさをひつたりはさんで、細流さいりう岩魚いはなあづけた。溌剌はつらつふのはこれであらう。みづ尾鰭をひれおよがせていははしる。そのまゝ、すぼりと裸體はだかつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さんぬるとし中泉なかいづみから中尊寺ちうそんじまうでた六ぐわつのはじめには、細流さいりうかげ宿やどして、山吹やまぶきはなの、かたかひきざめるがごといたのをた。かれつめた黄金わうごんである。これあたゝかき瑠璃るりである。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
杜若かきつばたが、もちぬしのふだたずにきなまゝ路傍みちばた細流さいりうつゆしたゝらしてるのである。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)