竹箒たけばうき)” の例文
どうした機會はずみであつたかこれ壁際かべぎはけた竹箒たけばうきたふれてがかちつと草刈籠くさかりかごつた。おつぎはひよつとかへりみた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
朝起きて、庭さきで顔を洗ひながら、時男さんの家の方を見ると、竹箒たけばうきで外を掃いてゐる時男さんの姿が見えることがあります。そんな時は、互に顔を見合せて、ニツコリします。
時男さんのこと (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
屠手の頭は手も庖丁も紅く血潮にまみれ乍ら、あちこちと小屋の内を廻つて指揮さしづする。そこには竹箒たけばうきで牛のあぶらを掃いて居るものがあり、こゝには砥石を出して出刃を磨いで居るものもあつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
さはつたところだけはしましてもいたみませぬ、竹箒たけばうき引払ひツぱたいては八ぱうちらばつて体中からだぢうたかられてはそれしのげませぬ即死そくしでございますがと、微笑ほゝゑんでひかへる無理むりにぎつてもらひ、つか/\とくと
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しはがれごゑに、竹箒たけばうき
かさぬ宿 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)