みまは)” の例文
彌次郎やじらう時代じだいにはゆめにも室氣枕くうきまくらことなどはおもふまい、と其處等そこいらみまはすと、また一人々々ひとり/\が、風船ふうせんあたまくゝつて、ふはり/\といてかたちもある。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
悄然しようぜんとしておもてを挙げざる男、その陰に半ば身を潜めたる女、貫一は両個ふたりの姿をみまはしつつ、彼の答を待てり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
風早學士は、其の薄暗い物象と陰影とをみまはして、一種耐へ難い悲哀の感に打たれた……彼自身にも何んの所故わけか、わけが解らなかツたけれども、其の感觸は深刻に彼の胸をけづる。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
女房にようばうは、幾度いくど戸口とぐちつた。路地ろぢを、行願寺ぎやうぐわんじもんそとまでもて、とほり前後ぜんごみまはした。人通ひとどほりも、もうなくなる。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
貫一はう事無しにけふりを吹きつつ、この赤樫あかがしの客間を夜目ながらみまはしつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
みまはかほを、突然いきなりつばめ蝙蝠かうもりばずに、やなぎのみどりがさらりとはらふと、えだなか掻潛かいくゞるばかり、しかも一段いちだんづいとたかく、めるやうなひろ河原かはらしたに、眞蒼まつさをながれうへ
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
按摩あんまは、坂上さかがみうして、きよろ/\と瓦斯燈がすとうみまはうちに、さきんじてまたつた。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
不幸ふかうそうはつく/″\このさまみまはし、慨然がいぜんとして
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)