特徴とくちょう)” の例文
これらの命名は客観的にその人々の特徴とくちょうを言い現したものだといえば、名はたいをあらわすといわれる、いわゆる名詮自性みょうせんじしょうとやらである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
たつた一人ひとりきりでくらしていたというのだからそういう特徴とくちょうから判断はんだんしてみて、捜査そうさ手懸てがかりは、かえつてつけやすいほどのものであつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
このユリの特徴とくちょう葉腋ようえき珠芽しゅがが生ずることである。これが地に落ちれば、そこに仔苗しびょうが生ずるから繁殖はんしょくさすには都合つごうがよい。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
家康いえやすのゆがめた口のあたりに二重のしわがきざまれた。これはいつも、思わしくない感情をあらわすかれの特徴とくちょうである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのやや真深かにかぶった黄いろい帽子と、そのつばのかげにきらきらと光っていた特徴とくちょうのあるまなざしとよりほかには、ほとんど何も見覚えのない位であった。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
利助りすけ陶器とうき特徴とくちょうは、その繊細せんさい美妙びみょうかんじにありました。かれ薄手うすでな、純白じゅんぱく陶器とうきあい金粉きんぷんとで、花鳥かちょうや、動物どうぶつ精細せいさいえがくのにちょうじていたのであります。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
犯人は洋服姿の大男で、中指のない四本指の右手が最大の特徴とくちょう凶器きょうきせられつつ沈着なる宿直員の観察かんさつ
香水紳士 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
しかもこの本は、月が絵かきに物語る話という形を取ってはいるものの、その特徴とくちょうとするところは絵画の素材をあたえるための、まぐるしいばかりの場面の展開にあるのではない。
絵のない絵本:02 解説 (新字新仮名) / 矢崎源九郎(著)
しかもこの本は、月が絵かきに物語る話という形を取ってはいるものの、その特徴とくちょうとするところは絵画の素材をあたえるための、まぐるしいばかりの場面の展開にあるのではない。
はじめから博士の特徴とくちょうになっていたその高いカラーを、蜂矢は、いわれるままに、とりはずした。すると蜂矢探偵は、そこにみにくきずあとを見た。短刀たんとうった傷のあとであると思った。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「今度は、特徴とくちょうのある顔が割合多いようですね。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
しかし若者ぼうのごときは、ただ笑うときさるに似たからとて、そればかりが彼の特徴でもあるまい。おそらく他にも種々な特徴とくちょうがあったろうと推量する。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
花は芍薬に比べるとすこぶる貧弱だが、その果実はみごとなもので、じゅくしてけると、その内面が真赤色しんせきしょくていしており、きわめて美しい特徴とくちょうあらわしている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
そして、中指を怪我けがして失った方も、広い東京には何人もいるかも知れない。しかし、この三つの特徴とくちょうが三つともピッタリあてはまるというような人が何人もいるものだろうか?
香水紳士 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
しろいし破片はへんに、いろとまじって、ひときわしろ光沢こうたくはなち、しおなどの結晶けっしょうのようにえるのです。方解石ほうかいせきだけは、っても、っても、四角形かくけいれる特徴とくちょうゆうしていました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その折——そうだ! 年頃は三十五、六と見えた、眉に特徴とくちょうのある、骨がらのたくましい良い侍だった。内匠頭の家来片岡源五右衛門と名乗って、田村邸のゆるしを得て、庭の物かげに膝まずき
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
スイッチが入ったのか、ついに点火した。しかし外へは、光がすこしも出ない。赤外線灯の特徴とくちょうである。それは、はるかの海上及び空中に待機する五万にのぼるドイツ軍のための生命の目標だった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さなきだに犯罪はんざいや自殺多き夏の季節に、一万四千の腕白者わんぱくものが大都会の一堂に会合したことであり、群集心理の特徴とくちょうとして逆上ぎゃくじょうしやすき時、出席者のうちの大多数は、自称じしょう政治家
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)