燃上もえあが)” の例文
火縄を取つて、うしろざまの、肩越かたごしに、ポン、と投げると、杉の枝に挟まつて、ふつと消えたと思つたのが、めら/\と赤く燃上もえあがつた。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
時にみねたにゆすり動きて、風叢林はやしたふすがごとく、沙石まさごそら巻上まきあぐる。見る見る一二七一段の陰火いんくわ、君がひざもとより燃上もえあがりて、山も谷も昼のごとくあきらかなり。
油をけ、駒下駄こまげたを片手にげ、表の戸を半分明け、身体をなかば表へ出して置いて、手らんぷを死骸の上へほうり付けますと、見る/\内にぽっ/\と燃上もえあが
釜の下は炎々と燃上もえあがって、今にも噴飛ふきとばしそうに釜の蓋がガタガタおどっている。
それについては何卒どうか消されるものなら長家の者の手をりて消し止めたいと思い、取って返して突然いきなり又作のうちを明けると、火はぽッ/\と燃上もえあがりまして火の手が強く
なかひつゝ、うづかさねて、燃上もえあがつてるのは、われらの借家しやくやせつゝあるほのほであつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
アヽやつ屹度きつとものはうとするとボーと火かなに燃上もえあがるにちげえねえ、一ばん見たいもんだな、食物くひものからもえところを、ウム、さいはかべが少し破れてる、うやつて火箸ひばしツついて、ブツ
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)