深雪みゆき)” の例文
除くためにあきらめるといってやったけれど、私にはどうしてもあきらめられない、私は朝顔日記の深雪みゆきや、袖萩のような強い恋を
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
思へば六とせそのかみに、たへ御法みのりををさめんと、わが故郷ふるさとを後にして、深雪みゆきの山に旅寝たびねして、ボウダの国に入りにしが、今また雪の山に来て
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
文楽座で見た朝顔日記の宇治うじの場面、———人形の深雪みゆき駒沢こまざわとが屋形船の中でささやきを交す情景を知っているだけで、妙子が云ったように友禅の振袖ふりそでなどを着て
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それでは昔からの日本の婦人で誰が一番好きだ、と言われますと、これは風俗からではなくて心の現われからという風に思われますが、私は朝顔日記の深雪みゆきと淀君が好きです。
朝顔日記の深雪と淀君 (新字新仮名) / 上村松園(著)
深雪みゆきに埋められた山村が眼の前に見えると同時に、人生の舞台に現はれてそして消えて行つた人達や、泣いたり笑つたりしたことや、何時の間にかさうした時代はすぎ去つて
田舎からの手紙 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
だるいやうな、ものうい姿でゐるゆき子の変化が、そゞろに哀れで、富岡は、昔歌舞伎で観た、朝顔日記の大井川だつたか、棒杭ぼうくひに抱きついて、嘆いてゐた深雪みゆきの狂乱が、まぶたに浮んだ。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
朝顔日記の川場の深雪みゆきなどをしていた役者の面影が、中でも一番印象が深かった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
二人ふたり旅行りよかうへてかへつてたのは十一ぐわつまちにはもう深雪みゆき眞白まつしろつもつてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さきのとし玉山翁が梓行しかうせられし軍物語いくさものがたりの画本の中に、越後の雪中にたゝかひしといふあり。文には深雪みゆきとありて、しかも十二月の事なるに、ゑがきたる軍兵ぐんびやうどもが挙止ふるまひを見るに雪はあさく見ゆ。
本当にわたくしなぞがまあこんな珍しい見物さしていただきまして——あの何でございますか、さっき渡りましたあの川が宇治川で、あのほたるの名所で、ではあの駒沢こまざわ深雪みゆきにあいました所でございますね
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
深雪みゆきふる遠き山辺やまべも都より見れば長閑のどかに立つ霞かな」
川ありてこし深雪みゆき断面だんめんのうらめづらしさ極りにけり
二人の女歌人 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
深雪みゆき降り、木枯荒れて、るくなりぬ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
富「うーん、そりゃア深雪みゆきというのだ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一声の初音こだます深雪みゆき不二
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
二人ふたり旅行りょこうえてかえってたのは十一がつまちにはもう深雪みゆき真白まっしろつもっていた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
雪の実境じつきやうをよみ玉ひしはしろしめす御国も深雪みゆきなればなり。
「そら、深雪みゆきがかどわかされるとこと違いますか」
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
深雪みゆき降り、木枯荒れて、るくなりぬ
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
あまつ原深雪みゆきの山をふみこえて
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
雪の実境じつきやうをよみ玉ひしはしろしめす御国も深雪みゆきなればなり。
眼もくらむ深雪みゆきの光
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)