御懸念ごけねん)” の例文
一右のように、こちらは万々御懸念ごけねんは御無用であるが、御身の御用心と、御城の御用心こそ、肝要たるべきこと。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかるに御家來ごけらい天晴あつぱれ器量人きりやうじんさふらふとな、祝着しふぢやくまをす。さて其者そのもの取立とりたつるにきて、御懸念ごけねんのほども至極致しごくいたせり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すゑのほど覺束おぼつかなければとひかゝるをうちけして、そは御懸念ごけねんふかすぎずや、釣合つりあふとつりあはぬは御心おこゝろうへのことなり、一おういとさまの御心中ごしんちううかゞくだされたし
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
篠田は制しぬ「何事か知りませぬが、梅子さん、少しも御懸念ごけねんに及びませぬ、れは私の弟ですから」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
乙下人 御懸念ごけねんなされますな、ゆびめさせてやとひまする。
「かしこまりました。御出陣のあとで、牢より出して充分に馳走し、木戸を守る者の間違い事と詫びて、あとのたたりのないように、歓ばせて放しますゆえ、御懸念ごけねんなく」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
主從しゆうじうあひだどくなどゝの御懸念ごけねんあるはずなし、おまへさまのおん御病氣ごびやうきそのほか何事なにごとありても、それはみな小生おのれつみなり、御兩親ごりやうしんさまのお位牌ゐはいさては小生おのれなき兩親おやたいして雪三せつざうなん申譯まうしわけなければ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「あの者のほうは、捕える時に深傷ふかでを負わせてございませんから、まず御懸念ごけねんには及びませぬ」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「乗りかかった船、その御懸念ごけねんはいりませぬ」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)