山蟻やまあり)” の例文
はッとしながら、玉を抱いた逆上のぼせ加減で、おお、山蟻やまありってるぞ、と真白まっしろ咽喉のどの下を手ではたくと、何と、小さな黒子ほくろがあったんでしょう。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
紫色の紋のある美しいちょうが五、六羽、蜂が二種類、金亀子こがねむしのような甲虫こうちゅうが一種、そのほかに、大きな山蟻やまあり羽蟻はありもいる。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
詩経しきやうには男子だんししやうとし、或は六雄将軍りくゆうしやうぐんの名をたるも義獣ぎじうなればなるべし。なつしよくをもとむるのほか山蟻やまあり掌中てのひら擦着すりつけふゆ蔵蟄あなごもりにはこれをなめうゑしのぐ。
たちまち毒汁の泡の上には、無数の山蟻やまありの死骸が浮き上った。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
山蟻やまありが驚いて四方に散った。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
雪中に穴居けつきよするはくまのみなり。熊は手に山蟻やまありをすりつけ、これをなめて穴居けつきよしよくとするよしいひつたふ。
前様めえさま温泉宿やどさしつけな、囲炉裡ゐろり自在留じざいどめのやうなやつさ、山蟻やまありふやうに、ぞろ/\歩行あるく。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
男子はアダム以前の丸裸、婦人は浴衣ゆかた紐帯ひもおびであったと思う。海岸に売店一つなく、太平洋の真中から吹いて来る無垢むくの潮風がいきなり松林に吹き込んでこぼれ落ちる針葉の雨に山蟻やまありを驚かせていた。
海水浴 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
雪中に穴居けつきよするはくまのみなり。熊は手に山蟻やまありをすりつけ、これをなめて穴居けつきよしよくとするよしいひつたふ。
又無数の山蟻やまありが谷の中を歩行ある跫音あしおとのようである。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また無數むすう山蟻やまありたになか歩行ある跫音あしおとのやうである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
(だって、山蟻やまあり附着くッついた身体からだですもの。)
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)