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尠
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すく
ふりがな文庫
“
尠
(
すく
)” の例文
別して巣林子の著作の
中
(
うち
)
に恋愛の恋愛らしきもの甚だ
尠
(
すく
)
なきを悲しまざるを得ず。
蓋
(
けだ
)
し其の
爰
(
こゝ
)
に到らしめしもの諸種の原因あるべし。
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
贅沢三昧
(
ぜいたくざんまい
)
に日を送りたいという考えで、人の妻になるものも
尠
(
すく
)
なくないとの事であるが、誠に不心得極まる現象と言わねばならぬ。
夫婦共稼ぎと女子の学問
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
それで一緒に室の中に坐るという事が
尠
(
すく
)
なかった。そういう状態が一月し、二月するうちに、笠原は眼に見えて
不機嫌
(
ふきげん
)
になって行った。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
で、そういう仕事は、
尠
(
すく
)
なくも、東儀与力などには
羨望
(
せんぼう
)
ものである。あわよくば、話に乗って、幾分の一の報酬でも約したいと考えた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
探偵に頼みさえしなければ、
尠
(
すく
)
なくとも私自身が妻を裏切っているような心の
呵責
(
かしゃく
)
からだけは、免れることができるからであった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
幾度も人の
尠
(
すく
)
ない時を見計らつてはお辻の死床に
名残
(
なごり
)
をおしみに来た二人の娘が、最後に
揃
(
そろ
)
つて庭を隔てた離れ
家
(
や
)
から出て来た。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
それも近頃はだんだん
尠
(
すく
)
なくなってしまったが、浅草公園の
瓢箪池
(
ひょうたんいけ
)
の附近に行くと最近まであれを専門に売って居る露店があったものだ。
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
日本の者も同じく閉鎖花を生じその全株皆
悉
(
ことごと
)
く閉鎖花の者が多く正花を開く者は割合に
尠
(
すく
)
ない。秋に種子から生じ春栄え夏は枯死に就く。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
彼岸前
(
ひがんまえ
)
の農家の一大事は、奉公男女の
出代
(
でがわ
)
りである。田舎も年々人手が
尠
(
すく
)
なく、良い奉公人は引張り
合
(
あい
)
だ。近くに東京と云う
大渦
(
おおうず
)
がある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
てんで人の
棲
(
す
)
む
処
(
ところ
)
でないらしく考えられるので、移民が
尠
(
すく
)
ないらしい、甲州の野呂川谷などから見ると非常に
美事
(
みごと
)
な処である
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
また獅と呼ぶのは同じく東半球に住まぬピューマなるなど猫属の諸獣の性質
酷
(
はなは
)
だ相似たる点から名称の混雑は
尠
(
すく
)
なくない。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
日本へ移住した数は
尠
(
すく
)
なからぬので、既に僧行基が奈良のある寺で説教を試みた時、髪に豚の脂の匂いのする女が来て
聴聞
(
ちょうもん
)
したという話がある位
梵雲庵漫録
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
即ち感情を起さしめたその事実景色を
諷
(
うた
)
わしめるのである。そういう句には陳腐なものもあり平凡なものもあるが
嫌味
(
いやみ
)
を感ぜしめるものは
尠
(
すく
)
ない。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
食道楽会の
来賓
(
らいひん
)
は中川の説明を聞きつつ中庭の料理場を眺めて実地の模様を目撃せしが誰も
皆
(
み
)
な料理熱心なる連中とて心に発明する処
尠
(
すく
)
なからず
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
『思ひ出』は与謝野寛に認められ、雑誌『明星』に発表されたものだが、発行後このように詩集が多く読まれ、たくさん売れた例は
尠
(
すく
)
ないであろう。
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
本来
宣教師
(
せんきょうし
)
にして久しく
函館
(
はこだて
)
に
在
(
あ
)
り、ほぼ日本語にも
通
(
つう
)
じたるを以て仏公使館の訳官となりたるが、これまた政府に
近
(
ちか
)
づきて利したること
尠
(
すく
)
なからず。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
ただしその品行の
厳
(
げん
)
と
風致
(
ふうち
)
の
正雅
(
せいが
)
とに
至
(
いたり
)
ては、
未
(
いま
)
だ
昔日
(
せきじつ
)
の上士に及ばざるもの
尠
(
すく
)
なからずといえども、概してこれを見れば品行の上進といわざるを得ず。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「はあ、車屋の神さんの話では英語のリードルか何か専門に教えるんだって云います」「どうせ
碌
(
ろく
)
な教師じゃあるめえ」あるめえにも
尠
(
すく
)
なからず感心した。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これらの意見を彼は、物靜かな低い調子で言葉
尠
(
すく
)
なに述べた。そして一寸沈默した後、彼は口數多い批評には如何にも慣れてないやうな調子で附け加へた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
しかれども、いまだこの日をもって、
放肆
(
ほうし
)
遊蕩
(
ゆうとう
)
すべきを聞かず。しかるに邦人語意を誤解し、はなはだしきに
至
(
いたり
)
ては、
嫖蕩
(
ひょうとう
)
放肆の義となす者また
尠
(
すく
)
なからず。
日曜日之説
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
信ずる人がもう
尠
(
すく
)
なくなって、聴衆を無智文盲の幼童に求めた以前、久しい間夜の鳥は成人にも怖れられた。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
先刻
(
さっき
)
は意地にも我慢にも正視出来なかった死美人の腐敗像が、今度は
愛想
(
あいそ
)
もこそもない只の顔料の配列としか見えなくなっているのには
尠
(
すく
)
なからず驚かされた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
昔しから
尠
(
すく
)
ないようです、日本製の風景画などに、よく三十号位いもあるのがありますが、それは大変面白くないもので
退屈
(
たいくつ
)
な下等な感じのするものであります。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
害を加えた物に対して
快
(
こころよ
)
くない感情を
惹起
(
ひきおこ
)
すのは人の情であって、殊に未開人民は復讐の情が
熾
(
さかん
)
であるから、木石を
笞
(
むちう
)
って僅に余憤を洩す類のことは
尠
(
すく
)
なくない。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
「名宝展」などの催しは、なるべく数を
尠
(
すく
)
なく。交代に。低廉な観覧料で展観すべきだ。それでなければ
蔽
(
かく
)
れた「名品」を一般に弘めると云う主旨は徹底しない。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
芳子はこの乱暴な不調子な時雄の行為に
尠
(
すく
)
なからず心を痛めて、「私がいろいろ御心配を懸けるもんですからね、私が悪いんですよ」と
詫
(
わ
)
びるように細君に言った。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
されど『文芸倶楽部』によりてその作を発表せんには是非にも主筆の知遇を待たざるべからずとて怒を忍び辞を低うして虎の門
外
(
そと
)
なるその家を
訪
(
と
)
ふものも
尠
(
すく
)
なからず。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
だから、
祟
(
たたり
)
のほども
尠
(
すく
)
ないであらうと自ら慰めて、不平も言はないで帰宅したのであつた。
たぬき汁
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
僕はそのそばに行って、いろいろいじって見たが、余り元始的で、故郷の土産にするようなものは極めて
尠
(
すく
)
なかった。小さい木製の牛をいじっていると、耳が突然
除
(
と
)
れたりした。
リギ山上の一夜
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「どうもこんなに沢山貰っては持って行くのが困難だからもう少し
尠
(
すく
)
なくしてくれ」といいましたら「いやこれからお前さんの通る所はどこへ行っても私の
弟子
(
でし
)
ばかりで、この袋を ...
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
以上を私が現在において
為
(
な
)
し得る人生観論の程度であるとすれば、そこに芸術上のいわゆる自然主義と
尠
(
すく
)
なからぬ契機のあることを認める。けれども芸術上の自然主義はもっと広い。
序に代えて人生観上の自然主義を論ず
(新字新仮名)
/
島村抱月
(著)
自分の書いたものが、白いシーツに写つたり、脚光に照らし出されたりして、観客の感情をいろ/\と
唆
(
そゝ
)
り立てる事は、ひそかにそれを見てゐる彼にとつても
尠
(
すく
)
なからず愉快であつた。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
しかし漢詩の本質的風格とも言うべき、あの直截で力強い、筋骨質の気概的表現を学んだ人は
殆
(
ほと
)
んど
尠
(
すく
)
ない。多くの歌人や俳人やは、これを日本的趣味性に優美化し、
洒脱化
(
しゃだつか
)
しているのである。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
都市の
大建物
(
おおたてもの
)
で、拝金宗の権化ならざるものは
尠
(
すく
)
なく、ニユーヨークのウールウオース・ビルヂングの案内書に、商業寺院 Church of Commerce として紹介されてあるのは
名古屋スケッチ
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
いずれも情歌の作品には情緒
纏綿
(
てんめん
)
という連中だったが、茶屋酒どころか、いかがわしい場所へ足を入れるものは
殆
(
ほとん
)
ど
尠
(
すく
)
なかった。この点、庵主金升もその主義だった。正に
稀
(
めず
)
らしい
寄合
(
よりあい
)
といえる。
「明治のおもかげ」序にかえて
(新字新仮名)
/
喜多村緑郎
(著)
大学が東京に一つという明治の初期には中学の数も
尠
(
すく
)
なかった。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
桂田博士も
尠
(
すく
)
なからず困った様子で何とも答えない。
月世界跋渉記
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
必ずしも
尠
(
すく
)
なしとしないのである。
現代能書批評
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
小野君は勇気
勃々
(
ぼつぼつ
)
たる青年であって欧米の新智識を有し、我輩の如きも学問の上に於て君の教えを受けたことも
尠
(
すく
)
なくなかった。
東洋学人を懐う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
古刀のよい物を
観
(
み
)
ようものと歩いたことがありますが、古来有名な刀で満足に秘蔵されている物が余りに
尠
(
すく
)
ないので悲しくなりましたよ。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
偖
(
さて
)
も従来の劇作家を数ふれば、故黙翁あり。学海、桜癡の二家あり、其他小説家中にて劇詩を試みたるものゝ数も
尠
(
すく
)
なからず。
劇詩の前途如何
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
(そう云えば私は最近この活動写真の存在ということをすッかり忘れてしまっている!)飲み食いが私の生活の
尠
(
すく
)
なからざる部分を占めていた。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
ほかの事に感心した訳でもありませんが、この爺さんの世界観が杓子から出来上ってるのに
尠
(
すく
)
なからず感心したのであります。これはただに一例であります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
次第次第に未決の書類は残り
尠
(
すく
)
なになって、決裁済みの書類は堆く積もってきたが、それとともに今日まで粒々辛苦して築き上げた堅実な父の業務の一切が
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そのほか叱るべきことあるも父母の
気向
(
きむき
)
次第にて、機嫌の善き時なればかえってこれを
賞
(
ほ
)
め、機嫌
悪
(
あ
)
しければあるいはこれを叱る等の不都合は甚だ
尠
(
すく
)
なからず。
家庭習慣の教えを論ず
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
だから子供のうちから本当の童心を持ってる子はやっぱり大人で童心を持ってる人と同じく
尠
(
すく
)
ないんだよ。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
積み重ねている民族は
尠
(
すく
)
なく、それを今の世まで持ち伝えてきたのも、日本人のように久しい者は
稀
(
まれ
)
であろうから、こういう知識だけは、恐らくは外国学者の足跡に
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
国芳の門人中(
芳幾
(
よしいく
)
芳年
(
よしとし
)
芳虎等)明治に
入
(
い
)
りてなほ浮世絵の制作をつづけしもの
尠
(
すく
)
なからざれども
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
清三も言葉
尠
(
すく
)
なくそれに答えた、何を話し何を答えたかはすぐ忘れてしまったが、五つも年の上である彼女が、常に姉のような態度で迫ってきたことだけは覚えている。
須磨寺附近
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
また改むべきものも
尠
(
すく
)
なくなかったので、明治十六年の頃から、我輩は宮崎道三郎、菊池武夫、栗塚省吾、木下広次、土方寧の諸君と申合わせて、法律学語の選定会を催したのであった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
尠
漢検1級
部首:⼩
13画
“尠”を含む語句
尠少
不尠
口尠
微尠
数尠