小児がき)” の例文
旧字:小兒
「何だ何だ、蜜柑を遣る。かう死んだ小児がきでも思い出したか、つまらねえ後生気を起しやがるな、打棄うっちゃっておけというに、やい。」
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「まあいいやな」と男はいさぎよく首をって、「お互いに小児がきの時から知合いで、気心だって知って知って知り抜いていながら、それが妙な羽目でこうなるというのは、 ...
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
ゲエープツ、ああ酔つたぞ酔つたぞ真実ほんとに好い心持に酔つて。かう酔つた時の心持は実に何ともいへないや。かかあが怒らうが、小児がきが泣かうがサ、ハハハハゲエープツ、ああ好い心持だ。
磯馴松 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
その、大蒜にんにく屋敷の雁股かりまたへ掛かります、この街道かいどう棒鼻ぼうばなつじに、巌穴いわあなのような窪地くぼちに引っ込んで、石松という猟師が、小児がきだくさんでもっております。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
草鞋わらじを脱いだばかりで、草臥くたびれてかまちから膝行込いざりこむのがある、他所よそ嬰児あかごだの、貰われた先方さきのきょうだい小児がき尿を垂れ散らかすのに、……負うと抱くのが面倒だから
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
前様めえさま、今の住居すまいは、隣の嚊々かかあ小児がきい産んで、ぎゃあぎゃあうるせえ、どこか貸す処があるめえか、言わるるで、そん当時黒門さどうだちゅったら、あれは、と二の足をましっけな。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)