宿禰すくね)” の例文
せい元來ぐわんらい身分みぶん分類ぶんるゐで、たとへばおみむらじ宿禰すくね朝臣あそんなどのるゐであり、うぢ家系かけい分類ぶんるゐで、たとへば藤原ふじはらみなもとたひら菅原すがはらなどのるゐである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
それで穴穂王あなほのみこは囲みをいて、ひきあげて待っておいでになりますと、二人の宿禰すくねは、ちゃんと軽皇子かるのおうじをおひきたて申してまいりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
大昔にも姓氏というものは歴然と存している、すなわち源・藤原というのが氏であって、朝臣あそんとか宿禰すくねとかいうのがかばねである。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
タケシウチの宿禰すくねにお頼みになるには「この日向からお召し上げになつた髮長姫を、陛下の御もとにお願いしてわたしに賜わるようにしてくれ」
ついでにもう一歩脱線すると、相撲の元祖と言われる野見のみの宿禰すくねの「スクネ」とよく似たヘブライ語の「ズケヌ」は「長老」の意味があるのである。
相撲 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかし、君長ひとこのかみの葬礼は宮人みやびとたちの手によって、小山の頂きで行われた。二人の宿禰すくねと九人の大夫だいぶに代った十一の埴輪はにわが、王のひつぎと一緒に埋められた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
鹿爪らしく何の朝臣あそんだの、何のむらじだの、宿禰すくねの、真人まひとの、県主あがたぬしのと、それぞれ昔の貴族豪族の姓を名乗っていた時代が近く五十年前にあったのである。
さて此哥の初句と、斉明天皇紀の童謡ワザウタとをば、はやき世よりよくヨム人なければとて、彼童謡をば己に、此哥をばそのいろと荷田信名のぶな宿禰すくねに伝へられき。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そのかみ垂仁すいにん天皇の七年に、はじめて野見のみの宿禰すくね当麻たいまの蹴速けはやとがこの国技を用いて以来、古今を通じて歴史的に最も相撲道が全盛をきわめた時代でありました。
手近いところで言うても、大伴宿禰すくねにせよ。藤原朝臣あそんにせよ。そうう妻どいの式はなくて、数十代宮廷をめぐって、仕えて来た邑々のあるじの家筋であった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
先祖の宿禰すくねにも背かぬというもの、こうなっては行く行く相撲は江戸ッ児の見るものでなくなるかも知れないと、そんじょそこらの勇み肌が中ッ腹でいるそうな。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
元明女帝の和銅元年、御宴に侍した三千代の杯に橘が落ちたのに因んで橘宿禰すくねの姓を賜つたのである。
道鏡 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
或る人予に、かゝる事を聞かせし事あり。浅草田圃のおおとり神社は野見のみ宿禰すくねまつれるより、はに作る者の同所の市の日に、今戸より土人形を売りに出してより、人形造り初めしとなん。
江戸の玩具 (新字旧仮名) / 淡島寒月(著)
代々神祇祭祀をつかさどる家柄であり、物部氏は、代々武将であり、これに反して、蘇我氏は、先祖武内宿禰すくね以来韓土と交渉を持ち、代々外交をつかさどる家柄であつたから、この対立が出て来たのであらう。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
宿禰すくねはへんだと思って、をさし上げて見ますと、天皇はもはやいつのまにかお息が絶えて、その場におたおれになっていらっしゃいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
次に若子わくご宿禰すくねは、江野の財の臣の祖先です。この天皇は御年五十七歳、御陵ごりようは劒の池の中の岡の上にあります。
そればかりでなく、最早もはや彼を助ける一人残った祭司の宿禰すくねにさえも、彼は言葉を交えようとしなかった。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
建内宿禰すくねという怪人物の子孫に表現されているということには、いろいろと意味がありそうだね。
するとその土地にまつられておいでになる伊奢沙和気大神いささわけのおおかみという神さまが、あるばん宿禰すくねの夢に現われていらしって
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
ヒコフツオシノマコトの命が、尾張おわりの連の祖先のオホナビの妹の葛城かずらきのタカチナ姫と結婚して生んだ子はウマシウチの宿禰すくね、これは山代やましろの内の臣の祖先です。
やがて、琴と笛と法螺ほらとがゆるやかに王宮のほこだちの方から響いて来た。十人の大夫だいぶ手火たびをかかげて白洲の方へ進んで来た。続いて、はたぼこを持った三人の宿禰すくねが進んで来た。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
次に志夫美しぶみ宿禰すくねの王は佐佐の君が祖なり。次に沙本毘古さほびこの王は、日下部の連、甲斐の國の造が祖なり。次に袁耶本をざほの王は、葛野の別、近つ淡海の蚊野の別が祖なり。
この二柱の王の女、五柱ましき。次に日子坐ひこいますの王、山代やましろ荏名津えなつ比賣、またの名は苅幡戸辨かりはたとべに娶ひて生みませる子、大俣おほまたの王、次に小俣をまたの王、次に志夫美しぶみ宿禰すくねの王三柱。
またくにみやつこが祖、宇豆比古うづひこが妹、山下影やましたかげ日賣に娶ひて、生みませる子、建内たけしうち宿禰すくね