“孤(こ)” の例文
いやいや徳は孤(こ)ならずで、貴公がそれがしの旧主、鴻家(こうけ)の姫を助けだしてくれた義心に対して、自分も義をもってお答え申したのみです。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「且(しばら)ク喜ブ、老身今独(ひと)リ在リ、然(しか)ラザレバ当時瀘水ノ頭(ほとり)、身死シテ魂孤(こ)ニ骨収メラレズ、マサニ雲南望郷ノ鬼トナルベシ……」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、徳(とく)は孤(こ)ならず、ちよろつかな包(つゝ)み加減(かげん)。拔(ぬ)いた串(くし)に皮(かは)が開(あ)いて、小姉(ちひねえ)の手(て)の上(うへ)に飜(ひるがへ)つたのを、風呂敷(ふろしき)ごと引奪(ひつたく)るやうに取(と)つて、奴(やつこ)は屋臺(やたい)で、爲直(しなほ)しながら
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
貧より起(おこっ)て百万の富を積み、孤(こ)を養い寡(か)を慰め、大慈善の功績を挙げんか、休言(いうをやめ)よ、基督教に世の快楽なしと、この希望この計画——ああ実に余は余の生涯の短きを歎ぜり、事業、事業
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
人の社稷(しゃしょく)を滅ぼし、百姓(ひゃくせい)の力を罷(つか)らし、百姓の財を尽くし、人の父を殺し、人の子を孤(こ)にし、乱政虐刑をなし、もって天下を残賤(ざんせん)するの人をもって英雄豪傑とせば、かのナポレオン、ビスマルク
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
破(やぶ)る寸善(すんぜん)尺魔(せきま)の俚言(ことわざ)むべなる哉大藤武左衞門の女兒(むすめ)お光は孝行の徳(とく)は孤(こ)ならず隣家(となり)の老婆(らうば)が婚姻(こんいん)の事如斯と徇(ふれ)歩行(あるく)より思はぬ事の起りて喜ぶ幸ひも今ふり變(かは)る災禍(わざはひ)の素(もと)を如何と尋るに此裏長家の家主を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すべて銭湯に五常の道あり、男湯孤(こ)ならず、女湯必ず隣りにあり、男女風呂を同じうせず、夫婦別ありといってね……
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この二つの下(もと)に生きる人間は、やはり、孤(こ)であってはならない、西行(さいぎょう)のごときさすらい人とならない限りは。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十九句から成っている彼の座右銘「独行道(どっこうどう)」は、つぶさに見ると、まったく孤(こ)そのものである。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)