めあは)” の例文
茶山の蘭軒に与へた書には、茶山がまさ妹女まいぢよ井上氏を以て霞亭にめあはせむとしてゐることが見えてゐた。茶山は遂に妹女をして嫁せしめ、後霞亭を阿部家に薦めた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
主人の家内のめひに当ります者が、内に引取つて御座いまして、これを私にめあはせやうと云ふ意衷つもりで、前々ぜんぜんからその話は有りましたので御座いますが、どうも私は気が向きませんもので
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
むかしてい武公ぶこうたんとほつし、すなは(一〇二)其子そのこもつこれめあはせたり。つて羣臣ぐんしんうていはく、「われへいもちひんとほつす、たれものぞ」と。關其思くわんきしいはく、「し」と。
茶山は女姪ぢよてつ井上氏を以て霞亭にめあはせ、しづか菅三万年くわんさんまんねんの長ずるを待たうとした。即ち「中継」である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かかるたはむれしてはばからず、女も為すままにまかせてとがめざる彼等の関繋かんけいそもそ如何いかに。事情ありて十年来鴫沢に寄寓きぐうせるこの間貫一はざまかんいちは、此年ことしの夏大学にるを待ちて、宮がめあはせらるべき人なり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
先代信栄の歿した時、嫡子信美のぶよしいとけなかつたので、隠居信政は井出氏門次郎を養つて子とした。信政は門次郎にめあはするに信栄の妹曾能そのを以てしようとして、心私こゝろひそかにこれを憚つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
親につかへて、此上無こよなう優かりしを、柏井かしわいすずとて美き娘をも見立てて、この秋にはめあはすべかりしを、又この歳暮くれにはかた有りて、新に興るべき鉄道会社に好地位を得んと頼めしを、事は皆みぬ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)