大鯰おおなまず)” の例文
大鯰おおなまず瓢箪ひょうたんからすべり落ち、いのしし梯子はしごからころげ落ちたみたいの言語に絶したぶざまな恰好かっこうであったと後々の里の人たちの笑い草にもなった程で
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それは驚くような大鯰おおなまずだなどといっておりますが、岸には七霊社というほこらを建てて姫の木像が祀ってあります。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
と小法師のもたげた顔の、鼻は鉤形かぎなりとがつて、色はとびひとしい。青黒あおぐろく、滑々ぬらぬらとした背膚せはだ濡色ぬれいろに、星の影のチラ/\とさまは、大鯰おおなまずの花を刺青ほりものしたやうである。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
笠鉾の上には金無垢きんむく烏帽子えぼしを着用いたしました女夫猿めおとざるをあしらい、赤坂今井町は山姥やまうば坂田金時さかたのきんとき、芝愛宕あたご下町は千羽づるに塩みの引き物、四谷大木戸は鹿島かしま明神の大鯰おおなまずで、弓町は大弓
出立の日重井おもいの発言によりて大鯰おおなまずの料理を命じ、ひそかに大官吏を暗殺して内外の福利を進めんことを祝しぬ。かくて午後七時頃神戸行きの船にとうぜしは古井、稲垣および妾の三人なりき。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
「半助さん……」ここで踊屋台をた、昼の姿は、鯉を遊ばせたうすもみじのさざ波であった。いまは、その跡を慕って大鯰おおなまずが池からしずくをひたひたと引いて襲う気勢けはいがある。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)