大通おおどお)” の例文
このは、まちは、いつもとことなって、いろいろの夜店よみせが、大門だいもん付近ふきんから、大通おおどおりにかけて、両側りょうがわにところせまいまでならんでいました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは寺から町の大通おおどおりに真直まっすぐに出て、うどんひもかわと障子に書いた汚ない飲食店のかどを裏通りにはいって、細い煙筒えんとつに白い薄い煙のあがる碓氷社うすいしゃ分工場ぶんこうじょう養蚕所ようさんじょ
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
男は身をかがめて、落ちてきたテーブルクロスにつつんだ大きな包みと、三さつのノートを、小わきにかかえこむとみると、うさぎのようなすばやさで木戸きどから大通おおどおりへ走りでた。
したのではもとよりなく、きのうもきょうもと、二日二晩ふつかふたばんかんがいた揚句あげくてが、隣座敷となりざしきちゃれているとせての、雲隠くもがくれれがじゅんよくはこんで、大通おおどおりへて、駕籠かごひろうまでの段取だんどりりは
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
やがて、大通おおどおりへようとすると、路地ろじかたすみに、ちょうちんをつけた、易者えきしゃのいるのが、はいりました。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
S町エスまちへつくと、もうくらくなりかけていました。大通おおどおりには、あかりが、ちかちかとついて、おまつりでもあるようでした。なるほど、たくさん露店ろてんていました。
緑色の時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まちというものは、ふしぎなものです。大通おおどおりから、すこしよこへはいると、おどろくほど、しずかでした。どもたちは、そこで、ボールをげたり、なわとびをしたりして、あそびました。
ひすいの玉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこから、ひろい、大通おおどおりをまっすぐにゆけば、やはりにぎやかだったが、裏町うらまちほうへゆくみちは、前後ぜんごとも、火影ほかげすくなくなって、くらく、みぞのくぼみのように、さびしげにさえられました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)