つつ)” の例文
見れば、恥辱を感じたのか、氣の毒と思つたのか、それとも怒つたのか、耳の根迄紅くなつて、鉛筆のさきでコツ/\と卓子テーブルつついて居る。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そこには、半ばむさぼつつかれた兵士達のしかばねが散り散りに横たわっていた。顔面はさんざんにそこなわれて見るかげもなくなっていた。
渦巻ける烏の群 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
シコモルの茂みの中には頬白ほおじろが騒いでおり、すずめは勇ましい声を立て、啄木鳥きつつきはマロニエの幹をよじ上って、樹皮の穴を軽くつつき回っていた。
いまかえったばかりの小雛が外へ向って呼ぶ声と、外の母鶏が卵の中からその小雛を連れ出そうと殻をつつく母鶏の嘴とが
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
時々赤い頭をした緑色の啄木鳥きつつきが、嘴で虫の食つた木をつついて、昆虫を出してたべる仕事の最中に、驚いて叫びながら矢のやうに飛んで行つて了ひました。
小鳥達は早く出て芸当をやり度くてたまらぬらしく、籠をコツコツつついていた。芸当のある物は顕著であった。
それが万一僥倖ぎょうこうに助かって孵化しても、親に似て性の悪い杜鵑の雛鳥に鋭い嘴でつつき出されてしまうという。
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しまいには畠山はたけやま城址しろあとからあけびと云うものを取って来てへいはさんだ。それは色のめた茄子なすの色をしていた。そうしてその一つを鳥がつついて空洞うつろにしていた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
飢鷹に髓をつつかすのだ、それで、肉が腐りただれてなくなると、神水をかけて業風ごうふうに吹かすと、また本の形になる、こんな奴は、億万ごうを経ても世には出られないよ
令狐生冥夢録 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
やッと信仰をつなぎますのも、あの鐘を、鳥のつついた蔓葛つたかずらつるしましたようなもの、鎖もきずなも切れますのは、まのあたりでござります。それまでおこらえなさりまし。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
野中の掃溜はきだめへ捨て鶏犬のつつくらうに任すと書いた、眼前の見聞を留めたもの故事実と見える。
ひもじきかさらばめよと、一つに牛の盛れば、子鴉はみぎりより来て、犬の子は左より来て、はしと口つつき合せて、つつき嘗め、啄き嘗めつす。また、そねみ、惜み、にくまず。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
捕えてやろうとすると、相手はかえって私の方へ立ち向って来て、指をつつこうとします。それで、私が指を引っ込めると、今度は、平気な顔で、虫やかたつむりをあさり歩いているのでした。
鳥はくちばしで竹の骨をつついたり、撞木で嘴を磨いたりしていたが、小声で何か囀ると、籠の戸口まで出て来て、暫らく外の景色を頭を傾げて見ていたが、また思い止って籠の中に戻ってしまった。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その音がし始めると、信子は仕事の手を止めて二階へ上り、抜き足差し足で明り障子へめた硝子ガラスに近づいて行った。歩くのじゃなしに、そろえたあしで跳ねながら、四五匹の雀が餌をつついていた。
雪後 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
角鷹くまたかのようにあなたの命の根をつつく1635
追つかけ廻つた、つつくわ 啄くわ
雨情民謡百篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
櫻實ゆずらうめなぞつつついた。
鸚鵡:(フランス) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
見れば、恥辱を感じたのか、気の毒と思つたのか、それとも怒つたのか、耳の根迄紅くなつて、鉛筆の尖でコツ/\と卓子をつついて居る。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
艦隊かんたいのように魚以上の堂々とした隊列で遊弋し、また闘鶏とうけいのように互いに瞬間をするどつつき合う。身体に燃えるぬめりを水で扱き取ろうとして異様にひるがえり、翻り、翻る。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ひもじきかさらばせよと、一つに牛の盛れば、子鴉はみぎりより来て、犬の子は左よりきて、はしと口つつき合せて、つつめ、啄き嘗めつす。また、そねみ、惜み、にくまず。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
むかし守屋大連もりやのおおむらじは神道を頑守して仏教を亡ぼさんとし、自戮せられて啄木鳥てらつつきとなり、天王寺の伽藍をつつき散らせしというが、和歌山県当局は何の私怨もなきに、熊楠が合祀に反対するをにく
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
脂の乗った肉をつつきに、10140
追つかけ廻つた、つつくわ啄くわ
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
その時親鷹還り来るを見るより青橿鳥騎馬様にその背に乗り夥しくつつきまた掻き散らした、傷から出た血が乾いて今まで鷹羽にすじや斑となって残ったとある(オエン『老兎巫蠱篇オールド・ラビット・ゼ・ヴーズー』一三六頁)
つついて啼いた
別後 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
英国でも女に制せらるる骨なし男をヘン・ベックト、牝鶏につつかるるという。グベルナチスいわく、イタリア、ドイツおよびロシアに広く信ぜらるるは牝鶏が牡鶏同然に鳴く時は大凶兆たり。
つついて啼いた
雨情民謡百篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
予が現にう雄鶏は毎朝予を見ればつつきに来る。