向合むかひあ)” の例文
菊池君から四人目、恰度私と向合むかひあつて居て、芸妓を取次に二三度盃の献酬やりとりをした日下部君は、時々此方こつちを見て居たが、遂々盃を握つて立つて来た。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
いつも夜店の賑ふ八丁堀北島町の路地には片側に講釈の定席ぢやうせき、片側には娘義太夫の定席が向合むかひあつてゐるので、堂摺連だうするれんの手拍子は毎夜張扇はりあふぎひゞき打交うちまじはる。
路地 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
うね/\とうすひかみづすぢかげえない船脚ふなあしなみ引残ひきのこされたやうなのが、あたままるとがどうながくうねり、あし二つにわかれて、たとへば(これ)がよこの(はち)の向合むかひあつて、みづうみなかばりやうしてうか
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
病院の横と向合むかひあつて竹山の下宿がある。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)