)” の例文
大立廻りをするうちくだんの名馬城将に殺されベヴィスまた城将を殺し、その妻が持ち出す膳をその妻に毒味せしめて後鱈腹たらふくうて去ったという。
これを笑ふけれど、遊佐の如きは真面目まじめで孝経を読んでゐるのだよ、既に借りてさ、天引四割てんびきしわりつて一月おきに血をすはれる。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と遠慮がちに訴うるは、美人の膝枕せし老夫おやじなり。馬は群がるはえあぶとの中に優々と水飲み、奴は木蔭こかげ床几しょうぎに大の字なりにたおれて、むしゃむしゃと菓子をらえり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ちやうど此の日の前夜ぜんやも、周三は、父から結婚問題に就いて嚴重げんぢう談判だんぱんツたのであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
武州河越より平知盛たいらのとももりに進ぜしを河越黒、余りに黒い故磨墨するすみ、馬をも人をもいければ生唼いけずきなど、多く毛色産地気質等に拠って名づけたので、津国の浪速なにわの事か法ならぬ。
ばかばかしい、銭を出して、あの醜態ざまを見せられて、置き去りをうやつもないものだ
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おお、宝井が退学をつたのも、其奴そいつが債権者のおもなる者だと云ふぢやないか。余程好い女ださうだね。黄金きんの腕環なんぞめてゐると云ふぢやないか。ひどい奴な! 鬼神のお松だ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ために大きな番狂わせをい、何とも致し方なくて、折角成り懸かった原稿を廃棄し、更に谷本君の文中に見ぬ事のみを論ずるとして再度材料蒐集より掛かったに因る。
同業者のこれにかかりては、逆捩さかねぢひて血反吐ちへどはかされし者すくなからざるを、鰐淵はいよいよ憎しと思へど、彼に対しては銕桿かなてこも折れぬべきに持余しつるを、かなはぬまでも棄措すておくは口惜くちをしければ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
乗合のりあい話好はなしずき爺様じいさんて、それが言ッたよ。上手な船頭は手先でぐ。巧者こうしゃなのは眼でぐ。それが名人となると、はらぐッ。これはおおいにそうだろう。沖で暴風はやてでもッた時には、一寸先は闇だ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
西洋で鰻を食うに、骨切りなどの法なく、ブツブツと胴切りにしてしるに煮るを何やら分らずにう。ウィリヤム・ホーンの書を見ると、下等な店では蛇を代用するもあるらしい。
英語で蜻蜓とんぼ竜蠅りょうばえ(ドラゴン・フライ)と呼び、地方によりこの虫馬をすと信じてホールス・スチンガール(馬を螫すもの)と唱う。そは虻や蠅をいに馬厩うまやに近づくを見てあやまり言うのだろう。
アダム夫妻もと只今の人の指と足のゆびの端にある爪の通りの皮を被りいたが、惑わされて禁果をうとその皮たちまち堕ち去り丸裸となり、指端の爪をて今更楽土の面白さをおもうても追い付かず。