)” の例文
彼はもちっとで、ホームにりにされるところだったが、いそいで駈けつけたので、やっと最後の車に飛び乗ることが出来た。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
足の弱いやつなんぞ相手にしていられるもんかと、自分の健脚けんきゃくまかせてさっさと友をりにして行ってしまいそうに思われる。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
支店の方を引きげる時、向ふへ置きりにしてた借金が三口みくちとかあるうちで、其一口ひとくちを是非片付けなくてはならないのださうである。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「その龍巻や手下どもは、にわかに船をだすことになって、おまえをここへおきりにしていった」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女王樣ぢよわうさまあいちやんばかり一人ひとりグリフォンのところりにしてつてしまはれました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
置きりにされ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
うもなんですな。むかしひとは矢っ張り手蹟い様ですな」と御世辞を置きりにして出て行つた。婆さんは先刻さつきからこよみはなしをしきりにてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
先でもめてくれるかと思っていたが、案外、それが気に喰わなかったように、通船楼の若いおかみさんは、さっさと、清吉をりにして、暗い横丁へ急いでしまった。
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人間はおき
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さうして現実の世界は、かやうに動揺して、自分を置きりにして行つて仕舞ふ。甚だ不安である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あさから晩迄あゝ云ふ声をしてゐるんでせうか。えらいもんだな」と云つたが、三四郎は急に置きりにした三人さんにんの事を思ひした。何か云はうとしてゐるうちに、美禰子は答へた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼は深い穴の真上にある友達をそこへりにして、どんどん逃げだした。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)