“処(お)” の例文
旧字:處
而(しか)して、これを率いるものは、彼(か)の倨傲自ら処(お)るカイゼル、ウィルヘルム二世である。欧州大戦は如何様(いかよう)に終結すべきか。
列強環視の中心に在る日本 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
然(しか)れども井伊大老已(すで)に彼を死地(しち)に処(お)かんとす、それ将(は)た何の益有らん。彼はここにおいて死せざるべからざるを知り、死を待てり、死に安んぜり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
文人の貧(ひん)に処(お)るは普通のことにして、彼らがいくばくか誇張的にその貧を文字に綴(つづ)るもまた普通のことなり。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
「軒冕(けんべん)(高貴の人の乗る馬車)の中におれば、山林の気味なかるべからず。林泉(りんせん)(田舎(いなか)の意)の下に処(お)りては、須(すべか)らく廊廟(ろうびょう)(朝廷(ちょうてい))の経綸(けいりん)を懐(いだ)くを要すべし」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
軽躁(けいそう)と心附かねばこそ、身を軽躁に持崩しながら、それを憂(う)しとも思わぬ様子※醜穢(しゅうかい)と認めねばこそ、身を不潔な境に処(お)きながら、それを何とも思わぬ顔色(かおつき)。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
着ることや食うことには大して不足もないが、処(お)るところがまだ決まらないというようなことも言われた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
時ありて梁山泊の豪傑連が額を鳩(あつ)めて密(ひそか)に勢力拡張策を講ずるなど随分変梃来(へんてこ)な事ありてその都度提調先生私(ひそ)かに自ら当代の蕭何(しょうか)を以て処(お)るといふ、こんな学堂が世間にまたとあるべくも覚えず候
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
出(いづ)ると処(お)ると 固(もと)より定(さだまり)有り
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
万般の事、謙虚自ら処(お)り、勉めて他の長を取り自己の短を補えば、其処(そこ)に高き文明と低き文明との調和が成り、それが日常の実生活の上に現れて、富裕を致し、国運も隆昌になる。
列強環視の中心に在る日本 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
お勢がこのような危い境に身を処(お)きながら、それには少しも心附かず、私欲と淫欲とが爍(れき)して出来(でか)した、軽く、浮いた、汚(けがら)わしい家内の調子に乗せられて、何心なく物を言っては高笑(たかわらい)をする
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
この窮乏の間に処(お)りながら初めから報酬を辞して受けなかった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)