内證ないしよ)” の例文
新字:内証
「八、お前は近所の噂を掻き集めてくれ。世間の人は、金持の内證ないしよ話なんてものは、思ひの外知つてるものだ、如才もあるめえが——」
子供たちはいつか釣りこまれて小声にうたひだしたので私も伯母さんに促されてみんなの顔を見まはしながら内證ないしよで謡のあとについた。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
大理石色なめいしいろ薔薇ばらの花、あかく、また淡紅うすあかじゆくして今にもけさうな大理石色なめいしいろ薔薇ばらの花、おまへはごく内證ないしよ花瓣はなびらの裏をみせてくれる、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
れはごく大切たいせつうたにてひとすべきではけれど、若樣わかさまをおたせまうしたく、ほかひと内證ないしよにて姉樣ねえさまばかりに御覽ごらんたまへ、はやく、内證ないしよで、姉樣ねえさまにおげなされ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「然し叔父さんにも叔母さんにも内證ないしよですよ」と言つて、徳二郎は唄ひながら裏山に登つてしまつた。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
内證ないしよ情婦いろのことを、おきせんとふ。たしか近松ちかまつ心中しんぢうもののなにかに、おきせんとて言葉ことばありたり。どの淨瑠璃じやうるりかしらべたけれど、おきせんもいのに面倒めんだうなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
内證ないしよにさへしてゐれば好いんだ……默つてさへゐれば好いんだ。俺は少しもお前と喧嘩したりなんかしたかないんだ。元々お前が好きだからこんな事にもなつたんだ……。』
反古 (旧字旧仮名) / 小山内薫(著)
内證ないしよの取り廻し、客と物貰ひとの處置振り、おさいの切り盛り、何から何まで覗くやうに見て木戸を一文も拂はないから、大したものでせう
なんでも他人たにんつたのを内證ないしよけづらないでは我慢がまん出來できない。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「まア、お氣の毒な、——主人には内證ないしよで私が引受けませう。越後屋の菩提寺ぼだいじに葬られなくても無縁佛にされちや可哀想です」
お由良は内證ないしよにして置いてくれと、堅く口止めしましたが、實は明日にもお由良を引取つて、内祝言する筈でございました。
「磯松どんは、若旦那のことを心配して、私と内證ないしよで打合せたり、相談ごとなどをして居りました。それが氣に入らなかつたかも知れません」
でも若旦那は町風呂の廣々としたのが好きなんださうで、——それに、こいつは内證ないしよですがね、箔屋はくや町の櫻湯にはお浪といふ凄いのが居ますよ。
四方あたりの者が皆んな遠慮して内證ないしよ事をお糸の耳に入れなかつたばかりに、飛んだ贋物が二人迄現れることになつたのでした。
三河島の母親がツイそこまで來て内證ないしよで一寸逢ひたいと言つてゐるからとおびき出し、弓町から湯島までつれて來て、この家へ押込んでしまつた。
「さう言はれると面目次第もねえが、あつしは生れてからたつた一度、親分に内證ないしよで、仕事をやらかさうとしたんで」
父さんは暖簾のれんにかゝはるからといつて、内證ないしよで療治させたけれど、暖簾なんて、そんなに大事なものでせうか、親分
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
南蠻なんばん物にはよく効く吐劑がある。南の方の國で取れる吐根とこんなどはその一つだが、なか/\手には入るまいよ、——だが、こいつは内證ないしよにして貰ひたい。
「いえ、滅多に來たことはありません。昨夜は久し振りでやつて來て、主人と何んか内證ないしよ話をして居ましたが」
その間お近さんだけが、皆んなに内證ないしよで離屋へ來て、おいらがお寺へ、お母さんが早桶はやおけ屋や荒物屋へ線香やお供物を買ひ集めに出かけてゐる間、佛樣のとぎ
平次は四方あたりを見廻しました。幸ひ案内してくれた主人も席をはづし、敷居のそとの彌次馬も、遠慮して遠退いた樣子、二人の内證ないしよ話を妨げる者もありません。
ツイ父親に内證ないしよで五百兩といふ大金を染五郎の一存で融通ゆうづうしたことなどが知れた爲だと言はれて居ります。
その後は三輪の萬七にも内證ないしよで、子分の八五郎に、そつと見張らせて、情勢の變化を眺めて居たのでした。
「有難う、——それから、此家に佐々村佐次郎さんの書いた物があるなら、内證ないしよで見せて貰ひたいが」
「お前は近所の衆の噂を集めてくれ、家の者は口が堅くて、急所をけて話すから、容易に筋は通らねえが、皮肉な内證ないしよ事は、思ひの外近所の衆が知つて居るものだ」
銭形平次捕物控:260 女臼 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「實は、——これは内證ないしよですが、町内の使ひ走りをしてゐる、與三松が見たと申しますんで。へエ」
今日まで内證ないしよにして居た、お富との仲が、この心中騷ぎで一ぺんに知れたら、他の奉公人の手前、主人の三右衞門も、素直に許してはくれないかも解らず、いづれにしても
「私は何んにも知りません。内證ないしよ事といふと、いろ/\の人の手紙をお孃樣へ取次いただけ」
こいつは私の女房には内證ないしよだが、十年前、國に居るとき、惚れた女を斬つたことがある。
少し調子ツ外れだが、その代り内證ないしよの話を外へ漏らすやうな氣のきいた人間ぢやねえ
俺が目をつぶれば、この身代は滅茶々々だ。他人にむしり取られて了ふ位なら、——これは内證ないしよの話だが——やくざでも血を分けたせがれに費はれた方が、どんなにいゝ心持だか知れはしない。
ぜつ返しちやいけません、——一度覗いて見ませうよ、姐さんには内證ないしよで」
「惡くねえ商賣だな吉、和蘭オランダカルタが三兩だ、——こいつは親分には内證ないしよだぜ」
父さん、皆んな申上げた方が宜いでせう、——染吉さんは久し振りで逢つて話し度いことがあるから、父さんには内證ないしよで、私に酉刻むつ半頃(七時)お稻荷樣まで來るやうにと、酒屋の小僧さんに頼んで傳言ことづて
「ところで、親分さん、これは内證ないしよのことですが——」
「ちよいと内證ないしよで訊き度いことがあるんだ」
内證ないしよで少し聽き度いことがある」