入山形いりやまがた)” の例文
『あんな貧乏人の娘を貰っちゃ世間や親類方の手前も悪い、せめて吉原の華魁おいらん入山形いりやまがたに三つ星の名ある太夫たゆうでも受出して来い』
おれァ、一半蔵松葉はんぞうまつばよそおいという花魁おいらんを、小梅こうめりょうまでせたことがあったっけが、入山形いりやまがたに一つぼしの、全盛ぜんせい太夫たゆうせたときだって、こんないい気持きもはしなかったぜ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
年のころは廿一二、容貌きりやうはよし、姿は好し、氣前はよし、なにしろ入山形いりやまがたに二つ星のなか町張ちやうばりで……。あなた方は御承知ございますまいが、一體仲の町張りと申しますと……。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
三十三軒の河岸店に、三百二十八人の女郎、その中でもあたしゃア二つ星じゃアないが、入山形いりやまがたの方だったのさ、それだのにお前という悪がついたため、売れなくなったのおびただしさ。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
手を懐にしたまま胸を突出し、半纏の袖口を両方入山形いりやまがたという見得で
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
入山形いりやまがたに二つ星の太夫たゆう——それも吉原には少ない数ではないでしょうが、薄雲の評判は、妙に江戸の若い男を焦立いらだたせた時代があったのです。
「大きく出やがつたな、年中空つ尻のお前が入山形いりやまがたに二つ星の太夫と色事いろごとの出來るわけはねえ、それとも大名のお姫樣のうんと物好きなのかな」
大家の若旦那の相手なら、入山形いりやまがたに二つ星の太夫でも不思議はないのに、水茶屋の茶くみ女は少し物好き過ぎました。
大家の若旦那の相手なら、入山形いりやまがたに二つ星の太夫でも不思議はないのに、水茶屋の茶くみ女は少し物好き過ぎました。
そこですゝめる人があつて、三月前に無類飛びきりといふ入山形いりやまがたに二つ星のめかけを雇ひ入れた、——その支度金大枚百兩
御守殿風の椎茸髱しいたけたぼになり、或は入山形いりやまがたに二つ星の花魁おいらんになり、町家の娘になり——妻木右太之進のその時その時の好みによって、あらゆる姿に変化して出現するのでした。
平次に冷かされつけている狭いあわせ弥蔵やぞうを念入りに二つこしらえて、左右の袖口が、胸のあたりで入山形いりやまがたになるといった恰好は、「色男には誰がなる」と、言いたいようですが、四方あたりが妙に淋しくて