“充満”のいろいろな読み方と例文
旧字:充滿
読み方割合
いっぱい41.9%
じゅうまん14.5%
みちみち12.9%
みちみ9.7%
いつぱい8.1%
みち/\3.2%
いつばい1.6%
いツぱい1.6%
くち1.6%
じゆうまん1.6%
つまッ1.6%
みち1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もしか敵役かたきやくでも出ようものなら熱誠をめた怒罵どばの声が場内に充満いっぱいになる不秩序なにぎやかさが心もおどるように思わせたのに違いない。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
ふたりは歯ぎしりをしながら、煙におしだされて、しだいしだいにあともどりした——といっても、充満じゅうまんしている煙の底をはいながら……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陰気な、不潔な、土埃の臭ひと黴の臭ひの充満みちみちたる家であつた。笑声とはしやいだ声の絶えて聞こえぬ、湿つた、唖の様な家であつた。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
これなりとは聞召きこしめしたりけれど、いきおい既に定まりて、削奪の議を取る者のみ充満みちみちたりければ、高巍こうぎの説も用いられてみぬ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あのかたは大きい柳行李やなぎがうり充満いつぱいあつたあなたのふみがらをあなたの先生のところへ持つて行つて焼いたと云ふこと、こんなことでした。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
おすといふはたれともなくサンヨウ/\と大音だいおんよばはるこゑの下に、堂内に充満みち/\たる老若男女ヲヽサイコウサイとよばはりて北より南へどろ/\と押、又よばはりて西より東へおしもどす。
お盆にお菓子を充満いつばい載せたのを持つて来させて、隠居所の二階の八畳に女中と二人で座つて居ました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
これはとおもふ、みぎも、ひだりまへえだも、なんことはないまるで充満いツぱい
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
実をいふと、人間といふものは胃の腑が充満くちくならないと、滅多にひとの事まで喜ばうとしないものだ。皆は蛙のやうに膨らまつた腹を抱へて、栃木の前途を祝福した。
陰気いんき充満じゆうまんして雲ふか山間やまあひ村落そんらくなれば雪のふかきをしるべし。
桑の葉の充満つまッ目籠めかごをてんでん小脇こわきに抱えていたが、われわれを見るとこそこそ土堤の端の方へ寄ッて、立ち止まッて,「あれはどこ様の嬢様だが、どこさアへ往かッせるか」
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
巻絹はち縫うて衣裳にすれどもらず、衣服に充満みちけるが、後にその末を見ければ延びざりけり、鍋は兵糧をくに、少しの間に煮えしとなり。