さむれえ)” の例文
角「えゝ、それじゃアおまえは鹽原角右衞門というおさむれえの妹で、其の家来けれえの岸田右内さんのおかみさんで、おかめさんと云いやすんかえ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あッそうだった。けれど殿様、あのこってげしょう……例の、ほら、火消し仕度のおさむれえさ。ねえ! 金的きんてきだ。当たりやしたろうこいつア——」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
……おお、さむれえそれはそうと、お前さん一体何者だね?
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「待て待て、さむれえ待て!」
だだら団兵衛 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
安「えゝ、それは驚きやしたねえどうも、ソノ寅の野郎をポカリと斬ったのも其のさむれえだが、侍と聞くと身の毛がよだつようだ、フーン成程」
「おんなせえ。右の肩から左乳下へざんぐり一太刀、ようがす。立派に斬られやしょう。だがねおさむれえさん、皮一枚だきゃあ残しておいて下せえよ。」
「おさむれえ、やられたのーッ」
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
仙「己は通りがゝりのものだが、弱い町人をつかめえて嚇しやアがッて、なげえのを振り廻わし、斬るのるのッて、ヤイ此のさむれえなぐり付けるぞ」
二本さしてさむれえだといったところで、主君や上役にぺこぺこしてヨ、御機嫌をとらねえような御機嫌を
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
仙「安さん其の刀を盗んださむれえは、昨夜ゆんべのう己も佐賀町河岸で見たが、おめえがソノ新橋から乗せたという頭巾を冠った侍だ」
さむれえが一人焼け死んだそうで、それがあの伊賀の暴れン坊柳生源三郎てえ人だとさ。イヤモウたいそうな評判だと、いま富さんが飛んでけえってきて話していましたよ、父上
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
けえって来てどんな狂言だったと云うも、何だかしんねえが弁慶縞の衣物きものを着たおさむれえが出て来て、脇差のあたまへ徳利とくりげていたが、余程よっぽど酒の好きなおさむれえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あ! あれは野田屋に逃げこんださむれえだ!」
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
すると女の艶書いろぶみつて児守子こもりっこに頼んで手紙を其のおさむれえに渡すと、おさむれえが惚れた女からよこした手紙だから飛立つように喜んで、其のふみを開いて読んでしまい
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お屋敷うちでね、一つ所で働くわッけさむれえがあって、え男よ、其方そっちを掃いてくんろ、わしイ拭くべえていった様な事から手が触り足が触りして、ふと私通くッついたんだ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
早「わしは下郎さ、おまえはおさむれえむすめだろう、しか口穢くちぎたなく云われゝば、私だって快くねえから、遺恨に思っておめえを鉄砲で打殺ぶちころす心になったら何うするだえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それから汽船へ乗ると船で会い、また此処で一緒に成るとは何とまアふけえ御縁かと思ってるだ、しかし其の相手の村上松五郎てえ奴は、もとさむれえだと聞いてるから
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まア待てよ…打叩うちたゝきは兎も角も、むすめは憎くて置かれねえ奴だが、附いて来たおさむれえさんに義理があるから、己が会って、云うだけの事を云って聞かした其の上で、其の人へ義理だ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
流石さむれえの娘は違ったもんだと村のもん魂消たまげて、なんとまア感心な心掛けだって涙アこぼして噂アするだ、今に富五郎や安田一角の行方は関取が探してどんな事をしても草ア分けて探し出して
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何うにもうにもおれが一生懸命に掛合ったから、飲んだ酒もめて仕舞った、おら全体ぜんてい酒さえのめば、さむれえでもなんでもおっかなくねえように気が強くなるのだが、幽霊が側へ来たかと思うと