似寄により)” の例文
拙者主家しゅうかの御領分越後えちご高田たかたよりの便たよりによれば、大伴蟠龍軒似寄によりの人物が、御城下にきたりし由、多分越後新潟辺にるであろうと思われます
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
対手あいては𤢖か、あるいれに似寄により曲者くせものか知らぬが、いずれにしても彼等に襲われた父の運命は、甚だ心許ないものと云わねばならぬ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
すゝみ其は旅籠屋の下女がたくみならん貴樣の方にくしはなしとはかりたるに先には鼈甲べつかふの櫛の幾個いくらもあらんにより指替さしかへ似寄によりの品を出して貴樣をあざむき歸せしなるべし其女を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
天明八年の火事とは、正月みそか洛東団栗辻らくとうどんぐりつじから起って、全都を灰燼かいじんに化せしめたものをいうのである。幕府はこの答に満足せずに、似寄によりの品でもいから出せと誅求ちゅうきゅうした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
原書を見てその図を写して似寄によりの物をこしらえると云うことについては中々骨を折りました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
僕のやうな、物に臆し、ひとを恐れ、心の競ひのすくないものが、たまたま父の一生をおもひ起すと、そこにはあまり似寄によりの無いことに気付くのであつたが、けれどもこれは自らう思ふといい。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
見す/\蟠龍軒似寄によりの者が、新潟の沖なる親船に忍んでると聞きながら、武士と生れて一太刀ひとたちうらみもせず、此の儘死ぬるも残念至極、また女房とても生死の程も分らぬうち
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これもそれと似寄によりの話で、やはり十七年の秋と思う。わたしが父と一所いっしよに四谷へ納涼すずみながら散歩にゆくと、秋の初めの涼しい夜で、四谷伝馬町てんまちょうの通りには幾軒の露店よみせが出ていた。
思い出草 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大岡殿或時あるとき役人をよば瀬川せがはけんの盜賊共數日になれども更に行方ゆくへ知れずよつて其方共名主なぬしかゝり江戸中の外療醫ぐわいれうい吟味ぎんみして見よ似寄によりの者あるべきぞと指揮さしづありしに付八方へ分れて名主なぬしへ掛り外療醫者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
差出し御内分に成下され相濟あひすみ申候然るに十二月二十七日の夜御役人樣御出御座候處右は萬澤まんざはにて出會候目明の面體めんていよく似寄により候と申を大岡殿とくきかれしが早速さつそく同心山本彌太夫を呼出され文藏宅の樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)