“まま”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
69.5%
間々6.5%
6.0%
3.8%
真間3.1%
自由2.9%
随意2.2%
1.6%
0.9%
往々0.9%
0.4%
0.4%
乳母0.2%
一任0.2%
嚼母0.2%
継々0.2%
0.2%
間〻0.2%
養母0.2%
麻万0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
何よりも私は世間の者より狂人扱いにされる事がたまらなく苦痛なのでありまして、此のまま此の苦痛が果し無く続くものであるならば
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
小説なんかで見ると、動いたりすることも間々ままあるらしい、などと思うと、蟹江はじっと辛抱できないような気持になってきます。
Sの背中 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
お江野には五つになる京之助という子がありますが、お江野と吉弥の間は、世にまましい仲でありながら何の隔たりもありません。
どうしてまま食って寝て、まま食って寝て、大きくなったぐらいで、りっぱな和尚さんになれるようなものではありません。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
真間まま手古奈てこなの話などはそっくりだ、とさわは思った。たぶん一つの美しく悲しい出来事が、いろいろな土地に移し伝えられたのであろう。
榎物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
さりとてこの人猿に自由ままにもなれず、進退きわまって立ちすくんでいると、その弥生のようすを承諾の意ととったものか、つかつかとかえってきた豆太郎
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「そういう手前こそ何者じゃ! 厳寒であろうと深夜であろうと、用事あればどこへ参ろうと随意ままじゃ! 他人ひとを咎めるに先立って自ら身分をなのらっしゃい!」
紅白縮緬組 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
まま亦吟諷して長謡、短草、楚詞、唐律を為り、風月煙雨の態度に酬答す。蓋し独り身目を娯み、暇日を遣るのみにあらず。
小国寡民 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
ところが畜生に、国を遣っても仕方がないから智馬を施主として大いに施行し、七日の間人民どもの欲しい物を好みのままに与うべしと勅諚ちょくじょう無遮むしゃ大会だいえを催した。
彼は夢中になって友を探した、けれども彼にきたるものは一人もなかった。往々まま無いでもなかったが一人も彼に満足を与える者はなかった、すなわち彼の胸中を聴いてくれる人はなかった。
愛か (新字新仮名) / 李光洙(著)
鉄筋コンクリートの 固さは死んだままなりき
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
然れどもおなじきことなることを別たずして、倶に天皇のみことのりままに、相たすけてさかふること無からむ。し今より以後のちちかひの如くならずば、身命いのちほろび、子孫うみのこ絶えむ。忘れじあやまたじ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
死んだ乳母ままが遺言したこともあるからね、つまらない私だけれど一生あなたの世話をしたいと思っていた。
源氏物語:15 蓬生 (新字新仮名) / 紫式部(著)
乳母ままが申し上げましたことはむろんでございますが、そのほかにもごいっしょに長い間苦労をしてまいりましたのに、思いがけない縁に引かれて、しかも遠方へまで行ってしまいますとは」
源氏物語:15 蓬生 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「乞詩人聚小梅傍。潤筆有贏銭満嚢。一任故人誇厚禄。我家春色未淒涼。」〔詩ヲ乞ヒテ人小梅ノ傍ニ聚マリ/潤筆あまリ有リテ銭嚢ニ満ツ/一任ままヨ故人ノ厚禄ヲ誇ル/我ガ家春色未ダ淒涼ナラズ〕枕山の声名は年と共にいよいよ顕われ門人も次第に多くなって
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
多くのかたごとを、絶えては考え継ぐ如く、語り進んでは途切れ勝ちに、呪々のろのろしく、くねくねしく、独り語りする語部や、乳母おもや、嚼母ままたちの唱えることばが、今更めいて、寂しく胸によみがえって来る。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
ただわたくしが継々まましい仲だものですから、妙に邪推されはしないかと、それだけがつろうございますわ。ですから、わたくしの立場としましても、一日も早く三千子の安否が知りたいのでございます。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
リリーを一本吸うたら目が𢌞つて來ましたつけ、と何日か古山の云うたのは、蓋し實際であらう。斯くの如くして、自分は常に職員室の異分子である。ままツ子である、平和の攪亂者と目されて居る。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
福岡日日新聞の主筆猪股為治いのまたためじ君は予が親戚しんせき郷人きょうじんである。予が九州に来てから、主筆はわざわざ我旅寓わがりょぐうわれたので、予は共に世事を談じ、また間〻まま文学の事に及んだこともあった。
鴎外漁史とは誰ぞ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
左次郎は何にもさまたげられずに、好きな事を考えていられた。もし養母ままのお咲が江戸にいたって、裕福である気遣いはなし、仲間ちゅうげんの一平と往来で出会っても、討つ力がないことは、自分にも分っている。
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『万葉集』の勝鹿かつしか真間ままの入江、または麻万ままの浦は果して今の東葛飾ひがしかつしか郡市川市大字真間ままであろうか。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)