“ちくえん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
竹縁75.0%
竹椽25.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
芭蕉亭ばしょうてい竹縁ちくえんに腰かけていた居士こじの目が、ジロリと光る、その手に持っている手紙をみた竹童ちくどうは、ふいとさっきの用を思いだして、うわばみとわしの話ができなくなった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
眼のふち清々すがすがしく、涼しきかおりつよく薫ると心着く、身は柔かき蒲団ふとんの上にしたり。やや枕をもたげて見る、竹縁ちくえんの障子あけ放して、庭つづきに向いなる山懐やまふところに、緑の草の、ぬれ色青く生茂おいしげりつ。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
えうなきむねいためけん、おろかしさよと一人ひとりみして、竹椽ちくえんのはしにあしやすめぬ、晩風ばんぷうすゞしくたもとかよひて、そらとびかふ蝙蝠かはほりのかげ二つ三つ、それすらやうやえずなりゆく
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はじかえでなんどの色々に染めなしたる木立こだちうちに、柴垣結ひめぐらしたる草庵いおりあり。丸木の柱に木賊もてのきとなし。竹椽ちくえん清らかに、かけひの水も音澄みて、いかさま由緒よしある獣の棲居すみかと覚し。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
稚兒おさなごはゝよぶやうさしまねぎつ、坐敷ざしきにもらではるかにてば、松野まつのおもかろにあゆみをすゝめて、はや竹椽ちくえんのもとに一揖いつしふするを、糸子いとこかるくけて莞爾にこやかに、花莚はなむしろなかばけつゝ團扇うちわつてかぜおくれば
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)