まねき)” の例文
六日の朝、三宅島が見えたので、大急ぎでまたまねきを上げたがどうにもならない。情けない情けないといっているうちに、三宅島も波の下に沈んでしまった。
重吉漂流紀聞 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「こうしてはいられまい。甚八ぬし、仁一郎ぬし、早くまねきをあげてくれ。おれは焼山で茅をもやす」
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
朝の五ツ時にかかって、八ツ時にようやく切り倒し、地方ぢかたの見えるところでまねきをあげる。菰と笠を棹の先につけて舳に立て、流れ舟だから助け舟を出してくれというこれが合図。
重吉漂流紀聞 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)