わに)” の例文
ある日わにが近付いて食おうとすると、雌鶏「オー兄弟よ、悪い事するな」と叫ぶに驚き、なぜわれを兄弟というたかと思案しながら去った。
気を付けて視ると、湖の底に大きな物がしずかに自分の方へ近づき来り、その水上に小波さざなみ立つ。さてはわにの襲来と悟ると同時に犬水中に飛び入り食われて死んだ。
十六世紀のバイエルン人、ウルリッヒ・シュミットの『ラプラタ征服記』のドミンゲズの英訳四三頁に当時のドイツ人信じたは、わにいき人に掛かれば人必ず死す。
ロメーンズの『動物智慧論』にもわにいたく猫を愛した例を出す。惟うに害虫駆除とか邪視を避くるとかのほかに、実際、象、馬、牛は天禀猴を好むのかも知れぬ。
昨今支那にコルゴを産すと聞かぬが、前述の仰鼻猴や、韓愈の文で名高いわになど、ありそうもない物が新しく支那で見出されて学者を驚倒させた例多く、支那の生物はまだとくと調査が済まない。