鬼胎きたい)” の例文
はてな、自分では磊落のつもりでも、自分の風采というやつが、この珍客に鬼胎きたいを持たせたのだな。そうだろう、無理もないことだ。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
歯だけしか残っていないような所謂いわゆる鬼胎きたいなるものが、時々発見されるのは、その胎児の夢が、何かの原因で停頓するか、又は急劇に発展したために
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これは果して推察の通りで、道中筋から上方かみがたにかけて、最初から、道庵の西上を喜ばぬものがあり、お角の乗込みに鬼胎きたいを抱いている一味があったのです。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)