韃靼ダッタン)” の例文
頭髪は黒く、頬骨が高くて、一見韃靼ダッタン人の血が混っていることを思わせる剽悍な顔をしていた。一九一二年の春の初めである。
生きている戦死者 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
『先生』と綽名あだなのついた老人のセミョーンと、誰も名を知らない若い韃靼ダッタン人が、川岸の焚火の傍に坐っていた。残る三人の渡船夫は小屋のなかにいる。
追放されて (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ワルソーを韃靼ダッタン化せんとするのは、ヴェニスをゼルマン化せんとするよりもはなはだしい。いかなる国王もそういうことをする時には、ただ労力と名誉とを失うのみである。
黒河の流れが黄河に落ちて、インクのように黒々とした水が黄色い水を濁して闘っているところ、そこの道のはずれに韃靼ダッタン人ケルバライの営む居酒屋があった。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
……サーリマノフときたらあの通りのがさつ者で、おまけに韃靼ダッタン人のこちこちときているんだが、あの男にだって一場のロマンスがあって、まんまと恋女房を手に入れたのだ。
接吻 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「それでいいんだ、いいんだとも」と、寒さに縮み上りながら韃靼ダッタン人がつぶやいた。
追放されて (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)