靭猿うつぼざる)” の例文
その混雑のうちに番数もだんだん進んで、夕の七ツ時(午後四時)を少し過ぎた頃に常磐津の「靭猿うつぼざる」の幕が明くことになった。踊り子はむろん猿曳と女大名とやっこと猿との四人である。
他処は知らず今も紀州に猴神の社若干あり、祭日に百姓ども五、六里も歩んでもうずる事少なからぬ。さるまさると『靭猿うつぼざる』の狂言に言えるごとく、作物蕃殖を猴の名に寄せて祝い祈るという。