雲上人うんじょうびと)” の例文
実際の力も物もない、その尊厳を、守るためだけに、無数の雲上人うんじょうびとは、衣冠いかんを正し、位階勲職くんしょくの古制度だけをやかましく詮議せんぎしていた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雲上人うんじょうびと」といえば、高貴の人間のように、今の人には聞えるけれども、社会からすてられた人間の形容詞と思えばよろしいのであつた。貧弱無為の人間の一団であつた。
それがわしには相応しとるて。ヘッヘッヘ。やつらにゃまたわしのような乞食絵師が相当しとるんだ。だからわしのような者もなけりゃならんのさ。雲上人うんじょうびと相手の白拍子しらびょうしばかりじゃ世の中は足らん。
公卿は、公明な雲上人うんじょうびとではなかつた。