陰火いんか)” の例文
遠ざかって行く自動車のうしろに、陰火いんかのような二つの蛍火ほたるびが見えていた。[注、当時の自動車は箱型で、後部にすがりつくことができた]
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
静子は可なりおもやつれをしていたけれど、その青白さは彼女の生地であったし、身体全体にしなしなした弾力があって、芯に陰火いんかの燃えている様な、あの不思議な魅力は
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そして、次々と恐ろしい作品を発表して行った。私はけなしながらも、彼の作にこもる一種の妖気にうたれないではいられなかった。彼は何かしら燃え立たぬ陰火いんかの様な情熱を持っていた。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)