錦繍にしき)” の例文
繿縷つづれの袖に置く露の、そればかりが悲しき涙か。錦繍にしきの上に散る玉は、よしや生命の水なるも、飾れるものにあやまたれ、何ぞと人の問はぬにも、心は千々に砕くるなる。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
その遊廊には錦繍にしききものを着て瓊瑶たまの帯をした絵で見る仙女のような若い女が往来ゆききしていて、それが二人と擦れ違うことがあった。その若い女達は青年をじろじろと見て往った。
賈后と小吏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)