狂言は——これも後に知ったのであるが——一番目「赤松満祐梅白旗あかまつまんゆううめのしらはた」、中幕「勧進帳かんじんちょう」、二番目「人間万事金世中にんげんばんじかねのよのなか」で、大切おおぎりには「魁花春色音黄鳥かいかのはるいろねのうぐいす」という清元きよもと常磐津ときわず掛合いの浄瑠璃じょうるりが附いていた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)