貴郎あんた)” の例文
「根本………御座らしやるとも、根本ていのア、塩山では一等の丸持大尽まるもちだいじんでごわすア」と答へて、更に、「で貴郎あんたア、根本さアとけ御客様おきやくさんかね」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「私は駄目でごす……」と涙の込み上げて来るのを押へて、「私ア、とても貴郎あんたの真似は出来ねえでごす。一体、もうこんな体格からだでごいすだで」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
貴郎あんたさアも見て御座らしやつたゞか、火事が、はア、毎晩のやうにあつて、物騒で、仕方がえものだで、村で、割前で金のう集めて、やうやく東京から昨日喞筒が出来て来ただア」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)