貴夫あなた)” の例文
御兄おあにいさんは貴夫あなたのために心配していらっしゃるんですよ。ああいう人と交際つきあいだして、またどんな面倒が起らないとも限らないからって」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「へえ? それは不思議だ。あたくしはまた、貴夫あなたのお客さまだから、あなたが御存じだと思いましたよ。」
「だって現に貴夫あなたの考えていた女とはまるで違った人になって貴夫の前へ出て来た以上は、貴夫の方で昔の考えを取り消すのが当然じゃありませんか」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「騙されてもその方がいくら好いか知れやしませんわ、貴夫あなた。もしもの事でもあって御覧なさい、それこそ……」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)