貞丈ていじょう)” の例文
一冊は学科に関係のない事件の備忘録で、表題には生利なまぎきにも紺珠かんじゅという二字がペンで篆書てんしょに書いてある。それから机の下に忍ばせたのは、貞丈ていじょう雑記が十冊ばかりであった。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そう云う本を読み尽して、さて貸本屋に「何かまだ読まない本は無いか」と問うと、貸本屋は随筆類を推薦する。これを読んで伊勢貞丈ていじょうの故実の書等に及べば、大抵貸本文学卒業と云うことになる。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)