蜆売しじみうり)” の例文
旧字:蜆賣
振り返ると十五、六の小僧が一人、蜆売しじみうりか何かでしょう、饅頭笠で夏の朝陽を避けるように、実は自分の顔を隠して、二、三間後ろから声を掛けるのでした。
わたくしは東京の附近にこんな人跡の絶えた処があるのかと怪しみながら、乗合いの蜆売しじみうりに問うてここに始めて放水路の水が中川の旧流を合せ、近く海に入ることを説き聞かされた。
放水路 (新字新仮名) / 永井荷風(著)