茜色あかね)” の例文
地平線上の青磁色が橙色にかわり、次第に茜色あかねを帯びてくる。そして高層雲がある場合には、それがシルエットになって、くっきりと浮んでいる。
黒い月の世界 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
梢を透して林の中の靄が木立ごとだん/\明るく茜色あかねに浮き立つのを見て行きますと、櫟林はわたくしを中に歩かしたまゝ大地ごと誰かの大きな手でもたげられ
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
日はもう山稜のかなたに落ちているので、西の空だけが、茜色あかねに光っている。鞍部は濃い紫色で、深海の底のような感じに沈んで見える。そしてマウナ・ケアの山頂だけが、赤く輝いている。
黒い月の世界 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)