芦峅あしくら)” の例文
芦峅あしくらきってのその強力で冬の登山者に取って重宝がられたあの福松も、去年一月の劍のアクシデントで無惨にってしまった。
案内人風景 (新字新仮名) / 百瀬慎太郎黒部溯郎(著)
午後四時芦峅あしくらに達して、私達二人は宝泉坊に宿り、長次郎達は家が近いので帰って行った。麓では風は強くもなかったが、雨は終夜まなかった。
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
翌日は温谷ぬくいだにをさかのぼり、右手にスカイラインをなす刈安峠かりやすとうげを越して更にザラ峠を越し、湯川の谷を下って立山温泉に一泊、常願寺じょうがんじ川に添って芦峅あしくら千垣ちがきから汽車で富山へ出る。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
藤橋で水量を計っている組についていた芦峅あしくらの案内らしい人が僕に向って、君が一人で登ったので大変心配したと言った。僕の行動がまるで知らない人にまで心配をかけたのは全く恐縮の次第だった。
単独行 (新字新仮名) / 加藤文太郎(著)